「GEO対策は内製と外注のどちらが得か」という問いには、先に結論があります。作業の大半は社内でまかなえます。
外に出す価値がはっきりしているのは、AIの回答を継続して測り続ける部分と、サイトを触れる人が社内にいない場合の2つです。それ以外は、外注しても社内で用意する材料が結局必要になります。
この記事では、GEO対策(生成AI検索で自社が引用・言及されるようにする取り組み)の作業を4つに分解したうえで、どこを社内でやり、どこを外に出すかの判断軸を整理します。自社サイトを66日間・1,956回観測した実測データもあわせて示します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
まず結論:内製できる範囲は、思っているより広い

GEO対策という言葉が新しいので、専門の技術が必要だと感じる方が多いようです。ただ、公式ドキュメントを読むかぎり、中身はこれまでのSEOと大きくは変わりません。
Googleは「AI検索向けの特別な最適化は不要」と明言している
Google検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」では、AI OverviewsやAIモードに表示されるための追加要件や特別な最適化は必要ないと書かれています。必要なのは、ページがインデックスされ、スニペット付きで検索結果に出られる状態になっていることだけだとされています。
さらにGoogleは2026年に「生成AI検索向けの最適化ガイド」を公開しました。そこでは、AEOやGEOと呼ばれる取り組みについて「Google検索の観点では、生成AI検索への最適化は検索体験への最適化であり、つまりSEOである」と整理されています。
同ガイドでは、llms.txtのような専用ファイルやAI向けの特別なスキーマは不要だとも明記されています。逆に言えば、SEOの基礎を回せる人が社内にいるなら、GEO対策の相当部分はその延長で内製できるということです。
それでも外注を検討する場面は2つある
1つ目は、AIの回答を継続して測る部分です。AIの回答は日によって変わるため、1回調べただけでは自社の位置がわかりません。
2つ目は、サイトを触れる人が社内にいない場合です。記事を書けても、構造化データの追加やページの改修ができないと、打てる手が半分になります。
GEO対策の作業を4つに分解する

内製か外注かを一括で決めようとすると判断できません。作業を分けたうえで、1つずつ担当を決めるほうが早く進みます。
現状把握・コンテンツ・技術・モニタリングの4つ
GEO対策の実務は、おおむね次の4つに収まります。それぞれ必要なスキルも、かかる時間の性質も違います。
| 作業 | 中身 | 内製しやすさ |
|---|---|---|
| ①現状把握 | 3つのAIに自社名・業種名で聞き、どう紹介されているか確認する | 高い(無料でできる) |
| ②コンテンツ | 実績・料金・事例・会社概要をテキストで書き出す | 高い(社内にしか材料がない) |
| ③技術 | クロール許可、内部リンク、構造化データ、表示速度の整備 | 中(サイトを触れる人が要る) |
| ④モニタリング | 同じ質問を繰り返し投げ、変化を記録し続ける | 低い(手作業だと続かない) |
このうち②は、外注しても社内が材料を出さないかぎり中身が薄くなります。Googleのガイドでも、他所にある情報の焼き直しではなく、自社の一次的な経験にもとづく内容が評価されやすいと説明されています。
「GEO対策一式」でまとめて発注すると割高になりやすい
4つを分けずに一括で頼むと、社内でできる①②まで含めた見積になります。まず①を自分でやってみて、どこが足りないかを掴んでから発注範囲を決めるほうが、金額も納得しやすくなります。
①は費用をかけずに試せます。手順は次の記事にまとめています。

内製する場合、実際に何時間・いくらかかるのか

内製は「タダ」ではありません。かかるのはお金ではなく時間なので、見積もりにくいだけです。
無料でできる範囲:3つのAIに自分で聞く
ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに、自社名と「〇〇市 業種名 おすすめ」の2種類を聞くだけなら、1回あたり15分ほどです。月に1回なら年3時間で済みます。
ただし、この頻度でわかるのは「出るか出ないか」の大まかな傾向だけです。AIの回答は同じ質問でも日によって変わるため、月1回の確認だと、たまたま出た日とたまたま出なかった日の区別がつきません。
自動化した場合の実コストは1日あたり$0.29だった
弊社は自社サイトを対象に、10問の質問を3つのソース(OpenAI・Gemini・Google AI Overviews)へ毎日投げています。2026年7月4日〜9月14日の66日間で観測回数は1,956回、この期間のAPI利用料の合計は$18.88でした。
1日平均にすると$0.2861です。API費用だけを見れば、月あたり1,300円ほど(1ドル150円で換算した場合)にしかなりません。
つまり、内製のボトルネックは費用ではありません。取得したデータを集計し、意味のある形に整えて、毎週見る運用のほうが重いという結論になりました。
見落とされがちな「続けるコスト」
仕組みを作る初期工数より、半年後も同じ手順で回っているかどうかのほうが問題になります。担当者が変わった時点で止まる運用は、実質的に投資が消えます。
内製を選ぶなら、手順書と保存先を最初に決めておくことをおすすめします。費用の内訳をもう少し細かく見たい場合は、次の記事で相場と実コストを比較しています。

外注が向いている作業・向いていない作業

外注の良し悪しは、金額より「何を買っているか」で判断したほうが間違えにくくなります。
外注しても、自社にしか出せないものがある
施工事例の詳細、見積の考え方、過去に断った案件の理由。こうした一次情報は、外部のライターがゼロから書けるものではありません。
Googleのガイドも、一般論の寄せ集めではなく、独自の視点や経験にもとづく内容を重視すると説明しています。材料を出すのは社内、整えるのは外部という分担が現実的です。
外注で買えるのは「時間」と「継続」
外注の価値が出やすいのは、社内では続かない作業です。毎日の観測、月次の集計、技術的な実装がこれにあたります。
逆に、月1回のAI確認や自社事例の執筆を外注しても、費用に対して得られるものは限られます。ここは社内に残したほうが、結果的に内容も濃くなります。
なお、Googleは第三者ツールについて「検索順位の成功を約束するもの、内部指標を使っていると主張するものには注意してほしい」と書いています。外部のツールや会社が示す数値は、あくまで独自に観測した結果だという前提で受け取るのが安全です。
内製と外注の分かれ目:5つのチェック

ここまでの整理を、実際に判断するためのチェックにまとめます。5つのうち3つ以上で「いいえ」が付くなら、外注を検討する価値があります。
①月に10時間、この作業に確保できるか
現状把握に1時間、記事や事例の執筆に6時間、サイト改修に3時間。最低ラインとしてこれくらいは要ります。
兼任担当が「空いた時間で」と考えている場合、多くは3か月ほどで止まります。確保できないなら、全部やろうとせず範囲を狭めるほうが現実的です。
②一次情報を持っているのは誰か
事例や判断の根拠が社長の頭の中にある場合、外注してもヒアリングの時間が発生します。その時間を含めて比べないと、外注が安く見えてしまいます。
③週次で変化を追う必要があるか
指名検索でAIに出ていればいい、という段階なら月1回の確認で足ります。競合との比較で出たいなら、変化を追う頻度が必要になります。
④サイトを触れる人が社内にいるか
構造化データの追加、内部リンクの整理、robots.txtの確認。これらができないと、コンテンツを書いても届きにくい状態が残ります。
制作会社に保守を頼んでいるなら、その範囲で依頼できることも多いので、まず確認してみてください。
⑤やめどきを決められるか
GEO対策は、成果が出るまでの期間が読みにくい領域です。内製でも外注でも、6か月後に何を見て続行・撤退を判断するかを先に決めておくと、迷いが減ります。
実測でわかった「内製だけでは埋めにくい」領域

ここからは、弊社が自社サイトを観測して得た数値です。観測期間は2026年7月4日〜9月14日の66日間、観測回数は1,956回です。
指名系は94.4%、比較系は0%という分断
66日・1,956回の観測で、自社が言及された割合は27.5%(537回)でした。ただし、この平均値は設問ごとの差を隠しています。
社名を含む指名系の設問では94.4%で言及されていました。地域系も83.6%と76.5%で、こちらは高い水準です。
一方で、「中小企業向けのホームページ制作会社のおすすめは?」のような汎用・比較系の6設問は、66日間すべてで0%でした。指名系と比較系で、ここまで差が開いています。
この分断は、記事を1本増やしたくらいでは動きませんでした。どの設問が動いていないのかを設問単位で持っていないと、打ち手を選べないというのが、実際にやってみての実感です。
日次の揺れは、1回の確認では見えない
同じ66日間の日次の言及率は、低い日で20.0%、高い日で33.3%の範囲で動いていました。直近1週間の移動平均は26.7%で、その前の期間の30.9%から4.3ポイント下がっています。
この4.3ポイントは、過去2か月のレンジ内に収まる変動です。ただ、月1回だけ確認していたら「急に出なくなった」と受け取っていた可能性があります。
ソース別に見ると、同じ66日間でOpenAIが31.2%(656回中)、Geminiが33.2%(650回中)、Google AI Overviewsが17.8%(650回中)でした。AIごとに出方が違うため、1つのAIだけで判断すると見誤ります。
現実的な折衷案:測るのは外、直すのは中

ここまでを踏まえると、多くの中小企業にとって現実的なのは全部内製でも全部外注でもありません。続かない部分だけを外に出し、手を動かす部分は社内に残す形です。
AccessGEOの立ち位置と、正直な弱点
弊社が運営するAccessGEOは、この「測る部分」だけを引き受けるサービスです。ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに毎日同じ質問を投げ、自社と競合の出方を記録して、月次のレポートにしてお送りしています。
この記事で使った数値も、自社を対象に同じ仕組みを回した結果です。記事の執筆やサイト改修は含まないので、そこは社内または既存の制作会社で進めていただく形になります。
弱点も書いておきます。対応しているAIは3種類で、PerplexityやCopilotは現時点で対象外です。また、Geminiの回答は引用元がリダイレクトURLで返るため、引用ドメインを完全には復元できていません。
観測そのものを内製したい場合も、API費用は1日あたり$0.29程度(66日・1,956回の実測)です。仕組みを作って回し続けられる方なら、内製という選択は十分に成り立ちます。
よくある質問

GEO対策を外注するなら、月いくらから考えるべきですか
公開されている各社の料金を見るかぎり、戦略設計と月次運用をまとめたパッケージで月20万〜50万円前後、実装まで含む包括支援だと月50万円以上という帯が多いようです。モニタリングだけを切り出す形なら、これより大幅に下がります。
金額だけで比べず、①〜④のどこまでが含まれるかを見積書で確認することをおすすめします。
外注から内製に切り替えるとき、何を引き継げばいいですか
観測に使っている設問リスト、過去の生データ、集計の定義の3つです。レポートのPDFだけを受け取っていると、切り替えた時点で過去との比較ができなくなります。
契約前に、データの持ち出しが可能かを確認しておくと安心です。
GEO専門の会社と、いまのSEO会社のどちらに頼むべきですか
Googleは公式ガイドで、生成AI検索への最適化は検索体験への最適化であり、SEOの延長だと整理しています。この見解に立てば、サイトの状況を把握している既存のSEO会社に相談するのが早い場合も多いはずです。
ただし、AIの回答を継続して測る仕組みを持っているかは会社によって差があります。そこだけ別に手当てする、という考え方もできます。
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まとめ

GEO対策の内製と外注は、二択で決めるものではありませんでした。作業を4つに分け、続かない部分だけを外に出すのが、費用の面でも内容の面でも無理がありません。
- Googleの公式見解では、AI検索向けの特別な最適化は不要。SEOの延長で内製できる範囲は広い
- 現状把握とコンテンツは社内向き。技術とモニタリングは外注の価値が出やすい
- 観測のAPI費用は1日$0.29(66日・1,956回の実測)。重いのは費用ではなく続ける運用
- 66日・1,956回の観測で、指名系は94.4%、汎用・比較系の6設問は0%。設問単位で持たないと打ち手が選べない
- 月10時間を確保できるか、一次情報が誰にあるか、やめどきを決められるかで判断する
まずは①の現状把握を、費用をかけずにご自身で試してみてください。そのうえで足りない部分が見えてから、外注の範囲を決めるので十分に間に合います。
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