ナレッジパネルとは、Googleで会社名や人名などを検索したときに、検索結果の右側(スマートフォンでは上部)に出る情報ボックスのことです。Googleの公式ヘルプでは「自動的に生成されます」と説明されており、お金を払ったり申請したりして出せるものではありません。
中小企業にできるのは、Googleが「この会社は1つの実在する組織だ」と判断しやすい材料を、ウェブ上にそろえておくことです。その材料は、ChatGPTやGeminiなどのAIが会社を説明するときの材料とも大部分が重なります。
この記事では、ナレッジパネルの仕組みと表示される条件、オーナー確認(認証)の手順、間違いの直し方を、Googleの公式ヘルプに沿って整理します。あわせて、当社が111日・3,307回のAI検索を観測したデータから、会社名で聞かれたときのAIの認識との関係を考えます。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
ナレッジパネルとは|検索結果の横に出る「会社の情報ボックス」

何が表示されるのか
ナレッジパネルには、会社名、ロゴや写真、短い説明文、公式サイト、設立年や所在地、SNSのプロフィールなどがまとめて表示されます。表示される項目は会社ごとに違い、すべての項目がそろうとは限りません。
Googleのヘルプでは、ナレッジパネルを「ナレッジグラフに存在する対象(人、場所、組織、物事など)を検索したときに表示される情報ボックス」と説明しています。ナレッジグラフとは、Googleが持っている「物事と物事の関係」のデータベースのことです。
ナレッジグラフの規模
Googleが2020年に公開したブログ記事によると、ナレッジグラフには50億の対象(エンティティ)について5,000億件を超える事実が集められています。エンティティとは、人・会社・場所のように「それ1つ」として区別できる対象のことです。
つまりナレッジパネルは、Googleがその会社を1つのエンティティとして認識し、関連する事実を集められたときに出てくる表示だと考えると分かりやすくなります。
自社に表示されているかの確かめ方
確かめ方は簡単で、ログインしていない状態(シークレットウィンドウなど)で正式な社名を検索するだけです。パソコンでは検索結果の右側、スマートフォンでは上部に情報ボックスが出ていれば、ナレッジパネルが表示されています。
社名だけで出ない場合は「社名+所在地の市区町村」でも検索してみてください。社名だけでは出ず、地名を足すと出る場合は、同名の会社や一般的な言葉と区別しにくい状態だと考えられます。
ナレッジパネルとGoogleビジネスプロフィールの違い

よく混同される2つの表示
会社名で検索したときに右側に出る情報は、2種類あります。1つはこの記事で扱うナレッジパネル、もう1つは店舗や事務所の住所・営業時間・地図・口コミが出るGoogleビジネスプロフィールです。
Googleのヘルプでも、2つは「似ています」としたうえで、ビジネスプロフィールは「特定の場所や指定されたサービス提供地域で展開されるビジネスに特化しています」と区別しています。
申請の仕組みが違う
ビジネスプロフィールは、事業者が自分で登録してオーナー確認を行う仕組みです。営業時間や電話番号も自分で更新できます。
一方のナレッジパネルは自動生成で、事業者が作ることはできません。ヘルプには「ナレッジパネルを手動で作成または削除することはできません」と書かれています。
| 項目 | ナレッジパネル | Googleビジネスプロフィール |
|---|---|---|
| 作られ方 | Googleが自動で生成 | 事業者が登録して作る |
| 主な対象 | 組織・人物・作品など | 店舗・事務所など場所のあるビジネス |
| 情報の出どころ | ウェブ上の公開情報 | 事業者の入力と利用者の投稿 |
| 事業者ができること | 認証後に修正の提案 | 情報の直接編集 |
来店型の店舗や地域の事業所なら、まずビジネスプロフィールを整えるほうが先です。ナレッジパネルは、店舗の有無に関係なく「会社そのもの」についての表示だと考えてください。
ナレッジパネルに表示される情報と、その出どころ

ウェブ上のさまざまな情報から集められる
Googleのヘルプでは、ナレッジパネルの情報は「ウェブ上のさまざまな情報を元にしています」と説明されています。2020年のGoogleのブログ記事でも、数百の情報源から情報を集めていること、Wikipediaはよく使われる情報源だが唯一ではないことが書かれています。
情報源には、公開されているウェブページ、ライセンスを受けたデータベース、サイト運営者が書いた構造化データ(検索エンジンにページの内容を伝えるための決まった書式の記述)などが含まれます。
情報が変わると自動で更新される
ヘルプでは、ウェブ上で情報が変わると自動的に更新されると説明されています。ただし、更新の周期は公開されていません。
自社サイトの住所を変えたのにナレッジパネルの表示が古いままの場合、ほかのサイトに古い住所が残っていないかを先に確かめてください。Googleはウェブ全体の情報を見ているので、自社サイトだけ直しても、外部の情報が古いままだと表示が変わりにくくなります。
ナレッジパネルが表示される条件|会社が「1つの対象」として認識されているか

公式に示されている条件はない
「この条件を満たせば表示される」という基準を、Googleは公開していません。ヘルプにあるのは、ナレッジグラフに存在する対象を検索したときに表示されるという説明だけです。
そのため、ここから先は公式の説明から読み取れる範囲の考え方として読んでください。表示を約束できる方法はありません。
表示されやすい会社の傾向
ナレッジパネルが出ている会社を見ると、共通するのは「その会社についての情報が、複数の独立した場所で一貫して書かれている」ことです。公式サイト、報道記事、業界団体の会員名簿、公的なデータベース、SNSなどに、同じ社名・所在地・事業内容が載っている状態です。
反対に、社名が一般的な言葉と同じだったり、同名の会社が全国にあったりすると、Googleはどの会社のことか判断しにくくなります。同名の会社と区別できる情報(所在地・設立年・代表者名・事業内容)がそろっているかが重要です。
ナレッジパネルを表示させるために中小企業ができること

公式サイトの会社概要を正確にする
最初にやるべきなのは、公式サイトの会社概要ページを正確で詳しいものにすることです。正式な社名、所在地、設立年、代表者名、事業内容、連絡先を、ほかのページと食い違わないように書きます。
社名の表記ゆれ(「株式会社」の有無、中黒やスペースの有無、英語表記)があれば、どれを正式表記とするか決めてそろえてください。

Organizationの構造化データを入れる
トップページか会社概要ページに、Organization(組織)の構造化データを入れます。Googleの検索セントラルには、組織の構造化データを入れることで、Googleが組織の管理情報を理解し、検索結果で組織を区別しやすくなるという説明があります。
sameAsという項目に公式SNSや外部のプロフィールページのURLを並べると、「これらは同じ会社のページです」とGoogleに伝えられます。書き方の詳細は、構造化データの記事で解説しています。
外部に一貫した情報を増やす
業界団体の会員ページ、取引先の導入事例、地元メディアの取材記事、プレスリリースなど、自社以外の場所に正しい情報が載る機会を増やします。リンクがなくても、社名と事業内容が一緒に書かれていること自体が材料になります。
WikipediaにはGoogleの情報源としてよく使われるという説明がありますが、Wikipediaには独立した情報源で取り上げられていることを求める基準があり、自社で記事を作ることは利益相反として強く避けるよう求められています。中小企業が無理に狙うものではありません。
整えたあとに確かめること
材料をそろえたら、数か月おきに社名で検索して、ナレッジパネルの有無と内容を記録しておきます。あわせてChatGPTやGeminiに「(社名)はどんな会社ですか」と聞き、説明が会社概要と合っているかも見ておくと、AI側の認識の変化にも気づけます。
1回の結果で判断せず、同じ方法で何度か確かめることが大切です。AIの回答は日によって変わるため、1回だけの確認では偶然の結果を見ている可能性があります。
ナレッジパネルのオーナー確認(認証)の手順と、できること

認証の手順
すでにナレッジパネルが表示されている場合は、会社の代表者として「認証」を受けられることがあります。Googleのヘルプに書かれている手順は次のとおりです。
- Googleアカウントにログインする(なければ作成する)
- Google検索で自社名を検索し、ナレッジパネルを表示する
- ナレッジパネルの下部(概要の部分)にある「ナレッジパネルの認証を受ける」をクリックする
- 表示された情報を確認する
- YouTube、Search Console、X(旧Twitter)、Facebookなど、会社の公式サイトやプロフィールにログインして本人確認をする
ヘルプには「現時点では、すべてのナレッジパネルの認証が受けられるわけではありません」とも書かれています。ボタンが出ていない場合は、時間をおいて確認してください。
画面の表記は変わることがあるので、実際の画面に合わせて進めてください。
認証後にできること
認証を受けると、ナレッジパネルの上部にある「情報の修正を提案」から変更を提案できるようになります。認証を受けた人からの提案は、ほかよりも優先的に審査されるとヘルプに書かれています。
権限は、オーナー・管理者・投稿者の3種類です。オーナーと管理者はほかのユーザーの追加や削除ができ、投稿者は修正の提案ができます。
担当者が退職しても困らないよう、会社として管理できるアカウントで認証を受けておくと安心です。
認証してもできないこと
認証を受けても、ナレッジパネルの内容を自由に書き換えられるわけではありません。ヘルプによると、説明文は編集できず、Googleがカスタムの説明やサブタイトルを作ることもありません。
画像がもともと表示されていない場合は、リクエストで画像を追加することもできません。あくまで「根拠を添えて修正を提案できる」という立場だと理解しておきましょう。
間違った情報が出ているときの直し方

まず情報源を直す
ナレッジパネルに古い住所や間違った設立年が出ている場合、最初にやるのは、間違いの元になっていそうな情報源を探して直すことです。自社サイトの古いページ、移転前の情報が残る外部サイト、表記の違う求人ページなどが原因になりがちです。
説明文についても、ヘルプでは情報源の側に修正を依頼し、それでも変わらない場合に根拠を示してフィードバックするよう案内しています。
フィードバックを送る
認証を受けていなくても、ナレッジパネルの右下にある「フィードバック」から修正を提案できます。提案には、問題点と、提案を裏付ける一般公開のURLを添えます。
Googleはウェブ上のほかの公開情報と照らし合わせて提案を審査します。正しい情報が載った公開ページがあることが、修正が通るかどうかの前提になります。
AIが自社について間違った説明をしたときの対処も、考え方は同じです。手順は別の記事でまとめています。

ナレッジパネルとAI検索での会社の認識の関係

材料が重なっている
ナレッジパネルとAI検索は、仕組みとしては別物です。ナレッジパネルが出ているからAIに紹介される、という関係が公式に示されているわけではありません。
ただ、どちらも「ウェブ上の公開情報から、その会社が何者かを判断する」点は共通しています。公式サイトの会社概要、構造化データ、外部の一貫した情報という材料は、AIが会社を説明するときにも使われる可能性が高いものです。
当社の実測:会社名で聞かれたときは9割を超える
AccessGEOでは、自社(株式会社アクセス・リンク)について、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに同じ10個の質問を毎日投げて記録しています。2026年7月4日から11月3日までの111日間・3,307回の観測で、回答に自社名が出た割合は全体で27.6%でした。
質問別に見ると、会社名を入れて「アクセス・リンクはどんな会社か」と聞く質問では、330回中302回(91.5%)で自社が正しく取り上げられていました。一方で、会社名を入れずに「おすすめの会社は」と聞く質問など6つの質問では、111日間ずっと0%のままです。
認識されていることと、推薦されることは別
この結果から分かるのは、会社として認識されていることと、おすすめとして名前が挙がることは別の段階だということです。ナレッジパネルや会社概要の整備は、主に前者の「正しく認識される」段階を支えるものです。
推薦される段階に進むには、比較記事や第三者の紹介など、別の材料が必要になります。指名検索とAI露出の関係については、次の記事で実測をもとに検討しています。

よくある質問

ナレッジパネルはお金を払えば表示できますか
できません。Googleのヘルプでは、ナレッジパネルは自動的に生成されると説明されており、手動で作成できないことも明記されています。
「確実に表示させる」とうたうサービスには注意してください。
小さな会社でもナレッジパネルは出ますか
規模だけで決まるものではありませんが、ウェブ上に一貫した情報が少ない会社は表示されにくい傾向があります。表示を目標にするより、会社概要と構造化データ、外部の掲載情報を整えることを目標にするほうが、AI検索にも効く取り組みになります。
ナレッジパネルを消してもらうことはできますか
ヘルプには、ナレッジパネルを手動で削除することはできないと書かれています。個人の生年月日や家族関係など、特定の個人情報については削除を依頼できる場合があります。
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まとめ|表示を狙うより、認識される材料をそろえる

ナレッジパネルは、Googleが会社を1つの対象として認識したときに自動で表示されるもので、事業者が作ったり買ったりすることはできません。できることは、公式サイトの会社概要を正確にすること、Organizationの構造化データを入れること、外部に一貫した情報を増やすことの3つです。
すでに表示されている場合は認証を受けておくと、間違いがあったときに根拠を添えて修正を提案しやすくなります。
この3つは、AIが会社を説明するときの材料を整えることにもつながります。まずは自社名をGoogleとAIの両方で検索し、どう説明されているかを確かめるところから始めてください。
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