AIに会社名が出るようになっても、問い合わせが自然に増えるとは限りません。AIの回答から問い合わせまでの間には、リンク先の第一印象、確認したい情報の置き場所、連絡手段の3つの段差があり、そこで多くの訪問者が離れます。
この記事では、AI経由の訪問を数える方法から、導線を整える手順、効果の確かめ方までを、当社の自社観測データとあわせて順に解説します。社名がAIに出た「その先」を設計したい中小企業の経営者・Web担当者の方に向けた内容です。
なお、AI検索(ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsなどの生成AIが検索の回答を作る仕組み)への露出を高める方法ではなく、出た後に成果へつなげる部分に絞って書いています。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
AIに名前が出ても問い合わせが増えない理由|途切れる3つの段差

AI検索から問い合わせまでの流れは、「AIの回答に社名が出る」「回答のリンクから自社サイトを訪れる」「サイト内で問い合わせ先にたどり着く」の3段階に分けられます。
多くの会社は最初の段階だけを気にしますが、成果が出るかどうかは後ろの2段階で決まります。
段差は「リンク」「確認」「連絡」の3つ
1つ目の段差は、AIが貼るリンクの行き先です。社名が出てもリンクがなければ訪問は生まれず、リンクがあっても行き先が意図しないページだと離脱されやすくなります。
2つ目は、訪問者がそのページで「この会社で合っているか」を確かめられるかどうかです。3つ目は、確かめた後にすぐ連絡できる手段が目に入るかどうかです。
先に結論|直すのは「トップページ」と「サービスページ」の2か所
当社の観測では、AIが貼る自社リンクの行き先はトップページに大きく偏っていました(詳細は後述します)。そのため、導線の改善は新しいページを増やす前に、トップページと主力サービスのページを見直すのが最も費用対効果の高い順番です。
AIに出る回数を増やす施策と、出た後に成果へつなげる施策は、別々に評価すると、どこで取りこぼしているかが見えるようになります。
AI経由の訪問を数える|GA4とSearch Consoleで見えること・見えないこと
導線を直す前に、AI経由の訪問が実際にどれくらいあるのかを把握しておきます。数えられるのは一部だけですが、その「一部」でも方向性の判断には十分役立ちます。
GA4では流入元の「AI系ドメイン」を絞って見る
GA4(Googleアナリティクス4)では、流入元(参照元)の一覧から、ChatGPTやPerplexityなどAIサービスのドメインを抽出して確認できます。当社の観測ログでも、ChatGPTが出典として貼る自社URLの末尾には「utm_source=openai」というパラメータが付いていました。
このパラメータを手がかりにすれば、ChatGPT経由の訪問を他の流入と区別しやすくなります。具体的な設定手順は、次のブログカードの記事にまとめています。

Search Consoleの生成AIレポートで「表示」を見る
Search Console(Googleが提供する無料の検索パフォーマンス確認ツール)には、生成AI機能での表示を確認できるレポートがあります。クリックまでは至らなくても、AI関連の機能で自社ページがどれくらい表示されたかを把握できます。
Google自身も、Search Consoleの生成AIレポートでの計測を案内しつつ、「内部指標を使っている」とうたう外部ツールには注意するよう呼びかけています(Google検索セントラル「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」)。
見えない部分がある前提で読む
AIの回答で社名を知った人が、リンクを踏まずにGoogleで社名を検索して訪れることは珍しくありません。その訪問は「指名検索(社名での検索)」として計上され、AI経由とは判別できません。
ECサイト94社を対象にしたVisibility Labsの1年間の分析(2025年1〜12月)でも、GA4上のAI経由の数字は実際の影響を過小評価している可能性があると指摘されています。数字は「最低でもこれだけ」と読むのが適切です。
当社の実測|AIが貼るリンクの行き先は7割以上がトップページだった
AccessGEOでは、自社サイトに関する10個の質問を毎日ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに投げて、回答の中身を記録しています。ここでは2026年7月4日から9月30日までの82日間・2,437観測のデータから、AIが自社をどこへ案内していたかを集計しました。
社名が出た669回のうち、リンクつきは約半数
自社名が回答に含まれていたのは669回です(観測全体の27.5%)。そのうち自社サイトのURLが出典として添えられたのは329回で、割合にすると49.2%でした。
ソース別にみると、ChatGPT(OpenAI)は社名が出た257回のうち240回(93.4%)で自社リンクがついていました。Google AI Overviewsは145回のうち89回(61.4%)です。Geminiは出典URLを同じ基準で取得できていないため、ここでは除いています。
リンク先の73%はトップページだった
リンクが添えられた329回のうち、トップページが含まれていたのは240回(72.9%)でした。次に多かったのは主力サービスの1つであるMEO支援のページで53回、会社概要のページが23回です(1回答に複数のURLが載る場合があるため、合計は329回を超えます)。
AIは個別のサービスページよりも、会社の入口であるトップページを案内しやすいというのが、自社観測から見えた傾向です。
ただし、これは当社1社・10設問の観測であり、すべての業種に当てはまるとは限りません。自社サイトでも、Search ConsoleやGA4で「AI経由の訪問が最初に着地したページ」を確認してみてください。
この数字から決められること
AIが案内する先がトップページに集中するなら、トップページの第一印象が成果を左右します。トップページに「何をする会社か」「誰向けか」「どう連絡するか」の3点が揃っているか、まず確認しましょう。
段差1|リンク先で「この会社で合っているか」を3秒で伝える

AIの回答を読んでサイトを訪れた人は、すでに「この会社が候補らしい」という予備知識を持っています。その期待に合っているかどうかを、画面を開いてすぐに確認しようとします。
ファーストビューに入れる3つの情報
画面を開いた最初の領域には、事業内容、対象とする顧客や地域、実績や強みの3点を入れます。AIの回答で紹介された説明文と矛盾しない言葉で書くのがポイントです。
たとえば、AIが「SEOに強い制作会社」と紹介したのに、トップページが抽象的なスローガンだけだと、紹介された内容とページの内容が結びつかず離脱の原因になります。
会社概要とアクセスの整備も導線の一部
先ほどの集計で、会社概要のページも一定数リンク先に選ばれていました。AIが事実確認の根拠として会社情報のページを使うことがあるためです。
会社名、所在地、代表者、事業内容が正確に書かれているかを点検しておきましょう。書き方の手順は次の記事で詳しく解説しています。

段差2|AI経由の訪問者が確かめたいこと
AI経由の訪問者は、検索結果の一覧から選んだ訪問者とは少し違う目的でサイトに来ます。すでに候補として紹介されているので、「本当に頼んで大丈夫か」を確かめる段階にいることが多いからです。
確認したい4つの項目
典型的には、実績や事例、料金の目安、対応エリアや対応範囲、担当者や会社の信頼性を確かめます。これらが見つからないと、別の候補へ移ってしまいます。
料金を細かく公開できない場合でも、「どんな条件で変わるか」「目安は幅でいくらか」を書いておくだけで、問い合わせの心理的なハードルが下がります。
AI経由の訪問は成約しやすいのか|2つの調査は結論が分かれている
AI経由の訪問の質については、調査によって結論が異なります。Visibility Labsの分析では、ECサイト94社でChatGPT経由のコンバージョン率が1.81%となり、非ブランド検索のオーガニック流入(1.39%)を上回りました。
一方、973のECサイトを対象にした別の研究(論文「ChatGPT Referrals to E-Commerce Websites」)では、ChatGPT経由の訪問は全体の約0.2%と小さく、コンバージョン率はオーガニック検索を下回ったと報告されています。いずれもECサイトが対象で、ラストクリックの計測であることが前提です。
つまり、AI経由の訪問が自動的に成約しやすいとも、しにくいとも言い切れません。確かなのは、「中身の合わないページに着地すると離脱する」という点だけです。自社のBtoBサービスや地域ビジネスに当てはまるかどうかは、自社のデータで確かめる必要があります。
段差3|問い合わせ導線の作り方|フォーム・電話・相談のそろえ方

確かめたい情報が見つかっても、連絡手段が見当たらなければ行動は起きません。問い合わせの入口は、ページの数ではなく「迷わず押せる位置にあるか」で決まります。
1ページに3回、同じ入口を置く
ファーストビューの近く、ページ中ほどの納得したタイミング、ページの最後の3か所に、同じ問い合わせボタンを置きます。文言は「問い合わせる」よりも「無料で相談する」「資料を見る」のように、心理的な負担が軽いものが向いています。
電話番号は、スマートフォンで見たときにそのままタップして発信できる形にしておきます。
フォームは項目を絞り、送信後の流れを書く
入力項目が多いほど、途中で離脱されやすくなります。最初の問い合わせでは、氏名、連絡先、相談内容の3項目程度に絞り、詳細はやり取りの中で聞くほうが完了率は上がります。
あわせて、送信後に何日以内に、誰から、どんな連絡が来るのかをフォームの近くに書いておくと、不安が減ります。
ハードルの低い入口を2段階用意する
今すぐ依頼する段階にない訪問者のために、「無料相談」「資料請求」「事例を見る」といった軽い入口も用意します。AI経由の訪問者は比較検討の途中であることが多いため、重い入口だけでは取りこぼしが出ます。
名前は出るのにリンクがない場合|指名検索への橋渡しを設計する
AIの回答に社名は出ても、リンクが添えられない場合があります。当社の観測でも、社名が出た669回のうち、自社リンクがついたのは約半数でした。
リンクなしの言及は「指名検索」として戻ってくる
リンクがなくても、社名を覚えた人は、後でその社名を検索します。AIの回答で名前を知り、Googleで社名を検索して訪問するという流れです。
この流れでは、検索結果に出る自社の情報(会社名で検索したときのタイトルや説明文、Googleビジネスプロフィール)が、訪問前の最後の確認材料になります。

社名で検索したときの見え方を点検する
会社名で検索して、公式サイトが1位に出るか、サービス内容が分かる説明文になっているかを確認します。AIの回答で名前を知った人が最初に目にするのは、この画面です。
誤った情報や古い情報が上位に出ている場合は、先にそちらを直しておきましょう。
電話・フォームの反応を毎月確かめて、導線を直し続ける

導線は一度作って終わりではありません。AIの回答も、検索結果も、サイトの中身も変わるため、月に1度は反応を確かめて直していきます。
毎月見る3つの数字
見る数字は、AI経由の訪問数、その訪問が着地したページ、問い合わせの件数の3つで十分です。AI経由の訪問が増えているのに問い合わせが増えないなら、着地ページの見直しが優先です。
逆に訪問自体が少ないなら、AIに出る回数や質問ごとの露出の改善へ戻ります。
改善の順番は「入口→着地→連絡」
作業の順番は、AIが貼るリンクの行き先を確認し、着地ページの第一印象を整え、問い合わせ導線を足す、という流れが現実的です。1回の修正は1か所に絞ると、何が効いたのかが分かります。
当社の観測のように、露出の推移を日次で記録しておけば、導線を直した前後でAIの出方が変わっていないかも同時に確認できます。
AIに出る回数と、出た後の成果は別に測る
AccessGEOは、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsでの言及状況を定点観測してレポートにするサービスです。ただし、サイト内での行動(問い合わせ数など)は、GA4やSearch Consoleなど自社の計測環境でしか見られません。
「AIに出ているか」はAccessGEOのようなモニタリングで、「出た後に何が起きたか」は自社の解析ツールで、と役割を分けて見るのが現実的です。
よくある質問
Q1. AI経由の訪問が少なくても、導線は整えるべきですか?
はい。導線の改善は、AI経由に限らずすべての訪問者に効くためです。AI経由の訪問は今は小さくても、トップページや問い合わせボタンの見直しは、検索や広告からの訪問にも効果が及びます。
Q2. AIが案内するページを指定することはできますか?
確実に指定する方法はありません。ただし、案内してほしいページに、質問と対応する内容を分かりやすく書き、会社情報や構造を整えておくことで、選ばれやすくなる可能性はあります。結果は保証できないため、観測しながら調整するのが現実的です。
Q3. 自社でAI経由の訪問を確認するには何から始めればよいですか?
まずGA4で流入元からAIサービスのドメインを抽出し、Search Consoleの生成AIレポートで表示回数を確認します。両方を見てから、着地ページと問い合わせ数を月に1度記録する運用から始めるのがおすすめです。
関連記事

まとめ
AIに社名が出ることと、問い合わせが増えることの間には、リンク先・確認・連絡という3つの段差があります。当社の82日・2,437観測では、AIが貼る自社リンクの72.9%にトップページが含まれており、入口の改善はまずトップページから始めるのが合理的でした。
自分でできる範囲は、GA4とSearch ConsoleでAI経由の訪問を数え、トップページと会社概要の第一印象を整え、問い合わせの入口を3か所そろえることです。AIに出ているかどうかの観測が自力では難しい場合は、AccessGEOの無料診断もご活用ください。
なお、AI検索の回答内容や、AI経由の訪問がどの程度成約するかは、今後も変わる可能性があります。結果は保証できませんので、月次で確かめながら調整していくことをおすすめします。
御社がどう紹介されているか、無料で診断
3つのAIに実際に質問し、御社と競合の出方をレポートにしてお送りします。
費用はかかりません。営業のご連絡もいたしません。


コメント