AI検索で自社の露出を測るとき、結果をいちばん大きく左右するのは「何を聞くか」です。AccessGEOの自社観測では、10個の質問のうち自社名が出たのは4個だけで、残り6個は84日間ずっと0%でした(2026年7月4日〜10月7日、2,497観測)。
つまり、質問の決め方しだいで「ほぼ毎回出ている」ようにも「まったく出ていない」ようにも見えてしまいます。この記事では、自分で測るための質問の作り方を、4つの型・10問の組み立て方・実測データの順に解説し、10問で分かることと分からないことを正直に整理します。
なお、AIに入力する質問や指示の文章を「プロンプト」と呼びますが、この記事では分かりやすく「質問」と書きます。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
AI検索の測定は「質問選び」で結果の大半が決まる

同じ会社でも、質問によって0%から90%超まで開く
自社観測で使っている10問の結果を、質問のタイプ別に見てみます。「株式会社アクセス・リンクの評判は?」のように社名を入れた質問では、AIの回答に自社名が出た割合(以下「言及率」)は92.8%(249回中231回)でした。
一方、「中小企業向けのホームページ制作会社のおすすめは?」のように地域も社名も入れない質問は、84日間・250回の観測で一度も自社名が出ていません。同じ会社、同じ期間、同じAIで測っても、質問が違うだけでこれだけ数字が変わります。
平均の数字だけを見ると、判断を誤る
10問すべてを合わせた言及率は27.4%(2,497観測中684回)です。しかしこの27.4%は「どの質問でも3割ほど出ている」という意味ではありません。
実際には4問はよく出ていて、6問はまったく出ていないという極端な内訳が、平均の裏に隠れています。質問を決めるときは、平均を上げることではなく、事業に関わる質問を漏れなく入れることを優先してください。
測る質問は4つの型に分けて設計する
質問を思いつくままに並べると、同じ種類の質問ばかりになりがちです。私は次の4つの型に分けて、型ごとに数を決める方法をおすすめしています。
指名型と、地域×サービス型
指名型は、社名やサービス名を入れて聞く質問です(例:「〇〇株式会社の評判は?」)。AIが自社を正しく認識しているかを確かめる質問で、ここが低い場合は会社概要や公式サイトの情報整理から手を付ける段階です。
地域×サービス型は、「下野市でおすすめのホームページ制作会社は?」のように地域名とサービス名を組み合わせた質問です。地域密着の事業では、実際のお客様の探し方にいちばん近い型になります。
比較・選び方型と、汎用おすすめ型
比較・選び方型は、「ホームページ制作会社の選び方・比較ポイントは?」のように、検討中の人が使う質問です。AIが判断基準を説明するなかで、どの会社を例に挙げるかを見ることができます。
汎用おすすめ型は、地域も条件も入れずに「〜のおすすめは?」と聞く質問です。競合が最も多く、出るのが難しい型なので、0%でも悲観する必要はなく、変化の兆しを見る定点として使います。
質問の材料は、お客様が実際に使っている言葉から集める
質問を机の上で考えると、どうしても自社の言葉遣いになります。お客様が使っている言葉を材料にするのが、測定の精度を上げるいちばんの近道です。
問い合わせ・商談・口コミから拾う
過去の問い合わせメールや商談メモを見返して、お客様が最初に口にした言葉を書き出します。「ホームページを作りたい」「ネットで見つけてもらえない」のような、業界用語になっていない言い方こそ、AIへの質問にそのまま使えます。
Search Consoleの検索クエリを参考にする
Googleの検索で実際に使われた語句は、Search Consoleの検索パフォーマンスで確認できます。表示回数が多いのにクリックが少ない語句は、お客様が探しているのに自社が選ばれていない領域の候補です。
AIに質問案を作らせるときの注意
AIに「この業種の人はどんな質問をしますか」と聞いて案を出してもらう方法もあります。ただし、AIが出す案は一般論に寄りやすいので、あくまで候補として使い、お客様の言葉で必ず上書きしてください。
集めた候補は、売上に近い領域か、お客様がよく使う言葉か、地域や条件がはっきりしているか、の3点で並べ替えて上位10問に絞ります。迷ったときは、実際に問い合わせにつながったお客様の言葉を優先してください。
10問の設計テンプレートと、質問文の書き方5つのルール

10問の内訳の目安
事業の中心になる質問を厚めにしつつ、4つの型を一通り入れます。目安は、指名型2問、地域×サービス型3問、比較・選び方型3問、汎用おすすめ型2問です。
地域名が関係ない事業なら、地域×サービス型を「業種×課題」型に置き換えてかまいません。大切なのは、型ごとの数を最初に決めて、測り始めたら変えないことです。
質問文を書くときの5つのルール
1つ目は、1問に意図を1つだけ入れることです。「安くて早くて品質が高い会社は?」のように条件を詰め込むと、結果が何に反応したのか分からなくなります。
2つ目は、お客様の言葉をそのまま使うこと、3つ目は、地域名の粒度(市・県・全国)を変えた質問を別々に用意することです。4つ目は、「ChatGPTなら」「Geminiなら」と質問文をAIごとに変えず、同じ文章を3つのAIに投げること、5つ目は、一度決めた文言を測定期間中は1文字も変えないことです。
記録は日付・AI・質問・自社の有無の4列で足りる
スプレッドシートに、日付、AIの種類、質問、自社名が出たか(○か×)、リンクが貼られたか、の列を作って記録します。手作業なら、10問×3つのAIで1回あたり30回の入力になるので、週1回の記録でも続けやすい分量です。
記録を始める前に、質問文と測定のルール(曜日・時間帯・ログインの有無)を1枚にまとめておくと、後から結果を見直したときに条件を取り違えません。
自社の10問で実際に起きたこと|4問に出て、6問は0%
ここからはAccessGEOが自社サイトで毎日続けている観測の実データです。観測期間は2026年7月4日〜10月7日の84日間、観測数は2,497回で、ChatGPT(OpenAI)・Gemini・Google AI Overviewsの3つに同じ10問を投げています。言及率は、回答中に自社名(社名・ブランド名)が含まれたかで判定しています。
質問別の言及率
以下の表の言及率は、回答の中に自社名が出た割合で、おすすめの1位に載った割合ではありません。順位ではなく、名前が出たかどうかで判定している点に注意してください。
| 質問の型 | 質問文 | 自社名が出た回数/観測数 | 言及率 |
|---|---|---|---|
| 指名型 | 株式会社アクセス・リンクの評判は? | 231/249 | 92.8% |
| 地域×サービス型 | 下野市でMEO・地図対策に強い会社は? | 211/249 | 84.7% |
| 地域×サービス型 | 下野市でおすすめのホームページ制作会社は? | 192/250 | 76.8% |
| 県域×サービス型 | 栃木県でSEOに強いホームページ制作会社は? | 50/250 | 20.0% |
| 地域×サービス型(隣接市) | 宇都宮市でおすすめのホームページ制作会社は? | 0/250 | 0.0% |
| 汎用おすすめ型 | SEOツールのおすすめは? | 0/250 | 0.0% |
| 汎用おすすめ型 | 中小企業向けのホームページ制作会社のおすすめは? | 0/250 | 0.0% |
| 比較・選び方型 | 集客できるホームページを作るならどこに依頼すべき? | 0/250 | 0.0% |
| 比較・選び方型 | ホームページ制作会社の選び方・比較ポイントは? | 0/249 | 0.0% |
| 比較・選び方型 | ホームページ制作はフリーランスと制作会社どちらがいい? | 0/250 | 0.0% |
出ている4問に共通するもの
出ている4問は、社名か、拠点のある地域名(下野市・栃木県)のどちらかが質問に入っています。AIが自社を結びつけられる手がかりが質問文に含まれているかどうかが、出る・出ないを分けていました。
隣接する宇都宮市を入れた質問が0%なのは、拠点が下野市であることを考えると自然な結果です。質問に入れる地域名が違うだけで、AIの答えは別物になります。

0%の質問を「失敗」と読まない
0%が6問あることは、そのまま「対策が失敗している」という意味ではありません。これらは競合が多く、地域の手がかりも使えない質問なので、出るまでに時間がかかるのが普通です。
だからこそ、0%の質問を外さずに測り続け、最初に1回でも出た日を捉えることに意味があります。
10問を測ると分かること

強い質問と弱い質問の線引き
質問別の言及率を並べると、どの領域でAIに認識されていて、どこが空白かが一目で分かります。自社の場合は、地域×サービスは強く、県域と汎用は弱い、という地図になりました。
改善の優先順位もここから決まります。強い領域は維持し、弱い領域のうち事業上重要なものから、会社概要や実績ページの情報を整えていきます。
AIごとの出方の違い
AIの種類ごとに分けると、同じ質問でも差があります。たとえば社名の質問では、Geminiは100%(83回中83回)、OpenAIは98.8%(83回中82回)、Google AI Overviewsは79.5%(83回中66回)でした。
地域MEOの質問でも、Gemini・OpenAIが98.8%なのに対し、AI Overviewsは56.6%(83回中47回)です。AI Overviewsは検索結果に表示されない日もあるため、3つを混ぜた平均だけでなく、AIごとに見る習慣をつけてください。
AIごとの差が大きいときは、質問の問題ではなくAI側の仕様の違いであることも多いので、まず差があること自体を記録しておくのが先です。
1回の測定では、結果がぶれる
「栃木県でSEOに強いホームページ制作会社は?」という1問について、84日間の毎日の結果を見ると、3つのAIのどれにも自社名が出なかった日が39日(46%)、1つのAIにだけ出た日が40日、2つのAIに出た日が5日でした。
もし、たまたま出なかった日だけ測っていれば「この質問では全く出ていない」と結論づけてしまいます。質問を決めたら、週に1回でもよいので繰り返し測ることが前提になります。

10問では分からないこと

お客様が実際に使う質問の分布は分からない
10問は、あくまで自社が選んだ質問です。実際のお客様がどんな言い回しで何を聞いているかの分布までは、10問では分かりません。
また、Googleの公式ガイドでは、AIが1つの質問から関連する複数の検索を同時に行う「クエリファンアウト」という仕組みが説明されています。つまり、利用者の1つの質問の裏では、こちらが想定していない複数の検索が走っている可能性があります。
測定ツールは、Google内部の動きを直接は見られない
Googleは同じガイドで、サードパーティのツールはGoogleの内部のランキングやAIのシステムにアクセスできないと述べています。AccessGEOを含め、外から定点観測する仕組みは、実際の利用者の画面そのものを再現するものではありません。
そのため、数字は「同じ条件で毎日測ったときの傾向」として読み、利用者ごとの見え方の違いまでは断定しないようにしています。Googleの検索がAIの回答にどう表示されたかは、Search Consoleの生成AI向けレポートなど公式のデータと併せて確認してください。
10問は定点カメラのようなもので、全体像ではなく、同じ場所の変化を見るための道具だと考えると使いやすくなります。
売上や問い合わせとの関係は、別の指標で見る
言及率が上がっても、それがそのまま問い合わせの増加に結びつくとは限りません。GA4やSearch Consoleで流入や問い合わせの数を別に追い、AI検索の測定は「見えているかどうか」の確認に位置づけてください。
よくある質問
Q. 質問は10問で足りますか?
事業の中心になる領域を押さえる目的なら、10問前後で足ります。ただし、サービスが複数ある会社は、サービスごとに10問ずつ用意するほうが、どこが弱いか分かりやすくなります。
Q. 測り始めてから質問を変えてもよいですか?
変えてもかまいませんが、変えた質問は新しい質問として扱い、以前の数字と比較しないでください。推移を見たいなら、測定期間中は文言をそろえたままにするのが基本です。
Q. 手作業で測るなら、どれくらいの頻度が現実的ですか?
週1回、曜日と時間帯をそろえて記録するのが現実的です。1回の測定では結果がぶれるので、最低でも4週間は続けてから傾向を判断してください。
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まとめ
AI検索の測定では、何を聞くかが結果の大半を決めます。質問は、指名型・地域×サービス型・比較・選び方型・汎用おすすめ型の4つに分け、お客様の言葉で10問前後を作るのが出発点です。
AccessGEOの自社観測(84日・2,497観測)では、10問のうち4問だけに自社名が出て、残る6問は0%でした。質問を決めたら、文言を変えずに繰り返し測り、AIごとの差もあわせて見てください。
一方で、10問で分かるのは「その質問での見え方」までで、お客様の質問の分布や売上への影響は別の方法で確認する必要があります。自分で測るのが難しい場合は、無料のGEO診断で、3つのAIでの御社の見え方をお伝えします。
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