AI検索(ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsなど、AIが回答を文章で生成する検索)には、従来のSEOのような「1位・2位」の順位はありません。自社の見え方は、順位ではなく、同じ質問を繰り返し投げたときに何回に1回、名前が出るかで判断するのが現実的です。
AccessGEOが自社サイトを毎日観測した2026年7月4日〜10月13日(90観測日・2,677観測)でも、同じ質問への登場順はAIごとに大きく違い、日ごとに入れ替わる質問がありました。一方で、名前が出る割合は質問ごとにほぼ固定されていました。
この記事では、順位という発想が使えない理由を、外部の調査・Google公式の情報・自社の実測の3つで整理します。そのうえで、順位の代わりに何を見ればよいかを、手順にして紹介します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
先に結論|AI検索に「順位」はなく、見るべきは「出る割合」

結論は「順位」ではなく「出る割合」で見る
AIの回答は、質問のたびに文章もブランドの一覧も作り直されます。そのため、検索結果の「3位」のように、ある時点の位置を固定して追う指標は成立しにくいのが実情です。
かわりに使いやすいのは、同じ質問を繰り返し投げて、回答に自社名が出た割合を見る方法です。この記事では、その割合を「言及率」と呼びます。
この記事で分かること
外部の調査、Google公式の説明、自社の90観測日の実測をもとに、順位が使えない理由、順位の代わりの指標、良し悪しの判断手順の順に説明します。
先にお断りすると、ここで紹介する自社の数字は、1サイト・10問・3ソースの結果です。他社の業種や質問でも同じになるとは限りません。
用語の整理|「言及」と「引用」
「言及」は、回答の文章の中に自社名が出ることです。「引用」は、回答の出典として自社サイトのURLが示されることです。
この2つは別の指標です。以下では、自社名が出た割合を言及率、URLが出典に示された割合を引用率と書き分けます。
そもそも「順位」とは何か|SEOの順位とAIの回答の違い

SEOの順位は「同じ検索語に対する並び順」
SEOの順位は、検索語を入れたときに表示される10件前後の結果の並び順です。地域・端末・ログイン状態などの条件が同じなら、ある程度は同じ並びが再現されます。
だから「このキーワードで3位」と言え、前の週との差で良し悪しを判断できました。
AIの回答は「毎回つくり直される文章」
AIは、検索結果のリストを返すのではなく、質問のたびに文章を生成します。どのブランドを何件挙げるか、どの順に書くかは、生成のたびに変わりえます。
そのため「AIで1位」という言い方が何を指すのかが、そもそも曖昧です。回答の中で最初に書かれた順なのか、出典リストの上から何番目なのかで、意味が変わってしまいます。
「AI検索で順位を上げます」という説明の読み方
AI検索の順位を上げる、あるいは保証すると説明するサービスに出会うことがあります。その場合は、何をもって「順位」と呼んでいるのか、測り方の定義を確認してください。
Googleは、AI機能について、サードパーティのツールは内部のランキングやAIシステムにアクセスできないと説明しています。詳しくは、後の章で紹介します。
外部の調査|同じ質問でも、ブランドの一覧は同じにならない

SparkToroとGumshoe.aiの調査
マーケティング分析のSparkToroとGumshoe.aiは、2026年1月に調査結果を公表しました。600人のボランティアが、同じ12個の質問をChatGPT・Claude・GoogleのAIに、のべ約3,000回入力した調査です(出典:Search Engine Land、2026年1月28日)。
同じ質問で、同じブランドのリストが2回出る確率は100回に1回未満、同じ順序で出る確率は約1,000回に1回でした。リストの長さも、2〜3件の回答から10件以上の回答までばらつきました。
それでも安定していたのは「出る頻度」
一方で、病院、代理店、消費財ブランドなど、一部のブランドは、特定の意図に対する回答の60〜90%に登場しました。調査は、順位よりも、ブランドが回答に出る割合(visibility percentage)のほうが指標として使いやすいとまとめています。
市場が小さいほど結果は安定し、選択肢が多いほどランダム性が高まる傾向も報告されています。
この調査が残した課題
この調査は、APIの挙動が実際のユーザーと同じか、何回試せば出現率が信頼できるか、といった点を未解決の課題として挙げています。数字を読むときは、この前提を置く必要があります。
AIの回答が日ごとにどれくらい変わるかは、自社の41日間の観測でも、別の記事にまとめています。

Google公式の情報|Search Consoleに「順位」は出るのか

生成AIパフォーマンスレポートが示すのは「表示回数」
Googleは、AI OverviewsやAIモードでの表示を確認できる「生成AIパフォーマンスレポート」を、Search Consoleに用意しています。ヘルプには、表示回数は「生成AI機能の中で、サイトへのリンクがユーザーに表示された回数」と書かれています。
同じサイトの複数の結果が同じ生成AI機能に出た場合は、グラフの合計では1回と数えられます。このヘルプのページには、掲載順位の記載はありません。
第三者ツールは、Googleの内部には触れない
Googleの検索セントラルの生成AI機能向けの最適化ガイド(2026年7月10日更新)には、「No third-party tool has access to our internal ranking or AI systems.」と書かれています。外部のツールの数字は、外側から質問して得た目安として読む必要があります。
自社の観測も同じ位置づけです。実際のユーザーの検索結果そのものではなく、決まった質問を決まった方法で投げた結果です。
AI Overviews内のリンクの位置について
2026年9月には、Search Consoleでは、AI Overviewsに含まれるリンクが、個々の順番ではなく回答ブロック全体の位置で記録されているという、Googleのジョン・ミューラー氏の発言が報じられました。
これは報道による情報で、Googleのヘルプに明記された仕様ではありません。引用の順番を、Search Consoleから読み取るのは難しいと考えておくのが安全です。
自社の実測①|同じ質問でも、AIごとに登場順がまるで違った

実測の方法と前提
AccessGEOは、10問の質問をChatGPT(OpenAI)・Gemini・Google AI Overviewsの3つに毎日投げ、回答に自社名が出たかを記録しています。観測期間は2026年7月4日〜10月13日、90観測日・2,677観測で、自社名が出たのは737回(27.5%)でした。
この737回について、回答の文章の中で、観測対象の8ブランド(自社と競合7ブランド)のうち、自社が何番目に書かれていたかを数えました。これを「登場順」と呼びますが、観測対象外のブランドは数えていないため、回答全体での順位ではありません。
全体では86.3%が「1番目」、ただしAIで大きく違う
737回のうち、自社が1番目に書かれたのは636回(86.3%)、2番目が62回、3番目が35回、4番目が4回でした。ただし、この平均は質問の種類に引っ張られています。
次の表は、地域名つきのホームページ制作会社を尋ねる質問(地域HP制作)で、自社名が出たときの登場順をAIごとに分けたものです。
| AI | 自社名が出た回数 | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 |
|---|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | 83回 | 83回 | 0回 | 0回 | 0回 |
| Gemini | 86回 | 3回 | 44回 | 35回 | 4回 |
| Google AI Overviews | 38回 | 38回 | 0回 | 0回 | 0回 |
読み取れること
ChatGPTでは83回すべて、AI Overviewsでは38回すべてで自社が1番目でした。ところがGeminiでは、1番目だったのは86回中3回(3.5%)で、2番目が44回、3番目が35回でした。
同じ質問でも、どのAIで測るかによって「順位」の姿がまったく違うため、1つのAIの結果だけで「自社は上位」とは言えません。
自社の実測②|登場順が日ごとに入れ替わる質問もあった

県域名つきのSEOの質問
県域名つきのSEOの質問(県域SEO)では、Geminiで自社名が出た30回のうち、1番目が15回、2番目が15回でした。前回の観測と比べて登場順が入れ替わったのは、29回中10回です。
ChatGPTでは、26回中25回が1番目で、入れ替わりは25回中2回でした。同じ質問でも、AIによって安定の度合いが違います。
地域HP制作のGeminiも入れ替わっていた
地域HP制作の質問のGeminiでは、自社の登場順が2番目と3番目の間で動き、前回と順番が変わったのは85回中43回でした。1番目になる回がほとんどない点では一定ですが、2番目と3番目の違いに意味を持たせるのは危険です。
固定されている質問もある
自社名を直接尋ねる質問(指名)は、ChatGPT・Gemini・AI Overviewsの3つすべてで、自社名が出た全回で1番目でした(それぞれ88回・89回・71回)。地域MEOの質問も、ChatGPTは87回、Geminiは88回の全回で1番目で、AI Overviewsは51回中49回です。
ただし、これらは自社名を尋ねる質問や、地域名で候補が絞られる質問です。固定されているのは、順位が安定しているからというより、質問が答えを絞り込んでいるからだと考えられます。
順位の代わりに見る指標|「出る割合」「引用されるか」「どの質問で出るか」

指標①|言及率(何回に1回、名前が出るか)
同じ質問を繰り返し投げ、回答に自社名が出た割合を見ます。自社の90観測日では、全体で27.5%(737/2,677)、ソース別ではChatGPT31.7%(284/897)、Gemini32.9%(293/890)、Google AI Overviews18.0%(160/890)でした。
質問別では、指名92.9%(248/267)、地域MEO84.6%(226/267)、地域HP制作77.2%(207/268)、県域SEO20.9%(56/268)です。残り6問は、90観測日すべてで0%でした。
指標②|引用率(出典としてURLが示されるか)
言及と引用は別です。名前が出ても出典のリンクが貼られない回があり、リンク経由の流入につながるのは、引用されたときです。
言及率と引用率のズレは、別の記事で実測を示しています。

指標③|どの質問で出ているか(質問別の内訳)
全体の率は、質問ごとの率の平均です。質問別に分けると、0%の質問と高い質問が混ざっていることが見えてきます。
順位を追うよりも、この質問別の内訳のほうが、次に何を直すかの判断につながります。
良し悪しの判断のしかた|数字を見る手順と、やってはいけない読み方

判断の手順
まず、自社に関わる質問を10問ほど決めて、期間中は変えずに使います。指名の質問、地域名つきの質問、「おすすめ」を尋ねる一般的な質問を混ぜると、高い質問と低い質問の両方が見えます。
次に、ChatGPTとGeminiなど複数のAIで、同じ質問を繰り返し測ります。観測数を必ず記録し、質問別・AI別に、月次と週次で言及率を見ます。
やってはいけない読み方
1回の回答だけで「出た」「出ない」を判断すること、1つのAIだけで判断すること、観測数を書かずに「3%上がった」と書くことは避けてください。
観測数が少ないと、1件の差が大きな率の差に見えます。自社でも、1週間分の1問あたりの観測は最大21件なので、数週間続けて同じ向きに動くかを見るようにしています。
言及率でも判断できないこと
言及率は、決まった質問に対して、AIの回答に自社名が出た割合です。実際の検索ユーザーの表示回数や、問い合わせ数とは別の数字です。
Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートや、GA4のAI流入と組み合わせて見てください。ご自身での記録が難しい場合は、AccessGEOのような定点観測サービスも選択肢ですが、対応しているAIはChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsの3つで、PerplexityやClaudeなどは対象外です。
よくある質問

AI検索で「1位」になることはできますか?
AIの回答には固定の順位がないため、「1位」と呼べる状態を保証することはできません。自社の観測でも、同じ質問の登場順が、AIごと・日ごとに変わりました。
目標は、順位ではなく、質問ごとの言及率を上げることに置くのが現実的です。
順位をうたう計測ツールは使えないのですか?
使えないわけではありませんが、何を「順位」と定義しているかの確認が必要です。引用リスト内の位置なのか、回答の文章での登場順なのか、AIごとに集計しているのかで、数字の意味が変わります。
1回だけ質問して、自社が出なかったら問題ですか?
1回の結果では判断できません。同じ質問を繰り返し、何回に1回出るかを見てください。Googleも、インデックスや表示は保証されないと説明しています。
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まとめ

2026年7月4日〜10月13日(90観測日・2,677観測)の実測では、同じ質問でも自社の登場順はAIごとに違い、質問によっては日ごとに入れ替わりました。SparkToroらの調査でも、同じブランドのリストが2回出る確率は、100回に1回未満でした。
AI検索の良し悪しは、順位ではなく、質問ごとに何回に1回名前が出るか、引用されるかで見るのが現実的です。観測数を添え、複数のAIで、数週間単位で追ってください。
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