AIに自社名が出る割合は、100日測ると何が動いて、何が動かないのでしょうか。AccessGEOが自社サイトを毎日観測した2026年7月4日〜10月12日の101日間(観測できたのは89日・2,647観測)では、全体の自社言及率は27.5%(728/2,647)でした。
結論から言うと、全体の数字は月ごとにも週ごとにもほとんど動かず、動いていたのは10問のうちごく一部の質問だけです。動かない数字を「効果が出ていない」と読むのも、動く数字に一喜一憂するのも、判断を誤る原因になります。
この記事では、動いた指標と動かなかった指標を実測で分け、外部の調査とも照らしたうえで、自分で100日測るときの手順を紹介します。なお「自社言及率」とは、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに同じ質問を投げ、回答に自社名が出た割合のことです。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
先に結論|100日で「動かなかった数字」と「動いた数字」

動かなかったのは「全体の率」「0%の質問」「指名・地域の質問」
全体の自社言及率は、30観測日ごとに区切ると27.0%・28.1%・27.5%で、ほぼ横ばいでした。10問のうち6問は、100日間ずっと0%のままです。
「御社の評判は?」のような指名の質問や、地域名つきの質問は、ChatGPTとGeminiでほぼ毎日自社名が出ていました。この3つは、100日たっても形が変わっていません。
動いたのは「県域SEOの質問」と「AI Overviewsの出方」
一方で、県域名つきのSEOの質問は、ChatGPTとGeminiのどちらでも、出る日と出ない日が入れ替わり続けました。Google AI Overviewsは、指名の質問でも日ごとに出方が揺れています。
つまり、全体の率が動かないのは「何も起きていないから」ではなく、「固定された質問が大半を占め、揺れる質問が少数だから」でした。
観測の前提|期間・観測日数・欠測
観測期間は2026年7月4日〜10月12日の101日間ですが、実際に観測できたのは89日です。観測できなかった12日(7月15日・24日、8月9日・12日・28日・30日、9月10日、10月1〜5日)は、集計に含めていません。
観測は、10問の質問をChatGPT(OpenAI)・Gemini・Google AI Overviewsの3つに毎日投げ、回答に自社名が出たかを記録する方式です。1日あたり30件、合計2,647件(エラー除く)で、判定は回答中の言及テキストに自社名が含まれるかで行っています。
動かない指標①|全体の自社言及率は27〜28%に固定されていた
月次・30観測日ごと・週次のどれで見てもほぼ同じ
月別では、7月が27.1%(211/780)、8月が27.2%(214/787)、9月が28.0%(244/870)、10月1〜12日が28.1%(59/210)でした。月ごとの差は最大1.0ポイントです。
| 区切り | 言及数/観測数 | 自社言及率 |
|---|---|---|
| 最初の30観測日(7月4日〜) | 243/900 | 27.0% |
| 次の30観測日 | 246/877 | 28.1% |
| 最後の29観測日(〜10月12日) | 239/870 | 27.5% |
| 全期間(89観測日) | 728/2,647 | 27.5% |
週別では、観測が150件以上ある13週で25.0%〜31.0%の幅に収まりました。日別では20.0%〜33.3%と幅がありますが、平均27.5%に対する標準偏差(ばらつきの目安)は3.5ポイントで、日々の数字だけを見ると上下して見えます。
なぜ全体の率は動かないのか|10問の平均だから
全体の自社言及率は、質問ごとの率の平均とほぼ一致します。自社の場合は、指名93.2%、地域MEO84.8%、地域HP制作77.0%、県域SEO20.4%、残り6問が0%で、平均すると27.5%です。
つまり、全体の率は、質問ごとの「固定された状態」の足し算でほぼ決まっていて、そこに一部の質問の揺れが小さく乗っているだけです。全体の率が1ポイント動くには、1問の率が10ポイント動く必要があります。
動かない指標②|6つの質問は100日間ずっと0%だった
1,589観測のうち、自社名が出たのは0件
おすすめ・選び方・集客・中小企業向けなど、一般的な言い方で尋ねる6つの質問は、3つのAIすべてで100日間0%でした。観測数は6問合計で1,589件、自社名が出た回は一度もありません。
詳しい内訳は、別の記事で6設問の共通点として整理しています。

指名と地域の質問は、ChatGPTとGeminiでほぼ毎日出る
反対に、指名の質問はGeminiで88日中88日、ChatGPTで88日中87日、自社名が出ました。地域MEOの質問も、Geminiで87日、ChatGPTで86日です。
この3問は、7月から10月まで月ごとの率が大きくは変わっていません(たとえば地域MEOは月別で79.5%〜87.4%の範囲です)。
動かないのは「効いていない」ではなく「構造」
0%のまま動かないのを見て「対策が効いていない」と結論づけるのは早計です。固有名詞を含む質問では出て、一般的な質問では出ないという構造が、100日間ずっと続いていると読むのが正確です。
構造を変えるには、日々の数字を見るだけでなく、その質問で名前が挙がるために何が足りないのかを調べる必要があります。
動く指標①|県域SEOの質問は、出たり消えたりを繰り返した

ChatGPTとGeminiで、日ごとに結果が入れ替わった
県域名つきのSEOの質問では、Geminiで88日中29日、ChatGPTで89日中25日、自社名が出ました。前の観測日と結果が入れ替わった回数は、Geminiが30回、ChatGPTが31回です。
Google AI Overviewsでは、この質問で自社名が出た日は88日中0日でした。
月次では上がって見えるが、週次では大きく揺れる
この質問の自社言及率は、7月が17.9%(14/78)、8月が17.7%(14/79)、9月が24.1%(21/87)、10月1〜12日が23.8%(5/21)です。9月に6ポイントほど上がった形ですが、週別では9/21(42.9%)の週もあれば、1/18(5.6%)の週もありました。
上がった時期に何が起きていたかは、別の記事で詳しく検証しています。

揺れる質問は「週」より長い単位で見る
1週間分の数字は、1問あたり18〜21件しかありません。この規模の標本では、1件の差が5ポイント前後の動きに見えるため、数週間続けて同じ向きに動くかどうかで判断するのが安全です。
動く指標②|AI Overviewsは、指名の質問でも日ごとに揺れた
同じ指名の質問でも、日ごとの出方が違う
Google AI Overviews(検索結果の上部に出るAIの要約)は、指名の質問で88日中71日、自社名が出ました。ただし、出た日と出なかった日が入れ替わった回数は28回あります。
地域MEOの質問では88日中51日(入れ替わり40回)、地域HP制作の質問では88日中37日(入れ替わり42回)でした。ChatGPTやGeminiが毎日ほぼ安定していたのと対照的です。
AI Overviewsが出ない日の割合も動く
AI Overviewsの要約そのものが出なかった割合は、全期間で22.8%(201/880)でした。月別では、7月が20.8%(54/260)、8月が23.5%(61/260)、9月が20.7%(60/290)です。
10月1〜12日は37.1%(26/70)と高く出ていますが、観測できた日が7日分しかなく、これだけで増加傾向とは言い切れません。引き続き観測して確かめる段階です。
ソース別の率は100日でも大きな差が残った
ソース別の自社言及率は、Geminiが32.8%(289/880)、ChatGPTが31.6%(280/887)、AI Overviewsが18.1%(159/880)でした。AI Overviewsだけ低いのは、そもそも要約が出ない日があること、出ても対象が限られることが影響していると考えています。
外部の調査と照らすと|回答の中身は毎回変わるが、「出る頻度」は安定する

SparkToroらの調査|同じ質問でも同じリストは1%未満
マーケティング分析企業のSparkToroとGumshoe.aiは、2026年1月に調査結果を公表しました。600人のボランティアが12個の同じ質問をChatGPT・Claude・GoogleのAIに約3,000回投げたところ、同じブランドのリストが2回出る確率は100回に1回未満、同じ順序で出る確率は約1,000回に1回でした。
一方で、特定の質問では60〜90%の回答に出るブランドもあり、順位よりも「何%の回答に出るか」のほうが指標として使えるという結論です(出典:Search Engine Land)。
自社の100日と同じ方向の結果
自社の観測でも、回答の文章や並び順は毎日違うのに、質問ごとの言及率は100日間ほぼ固定されていました。回答の中身は揺れても、出る頻度は質問ごとに安定している点が、外部の調査と一致します。
ただし自社の観測は1サイト・10問・3ソースの結果です。他社の業種や質問でも同じになるとは限りません。
Google公式の見解|AI機能向けの特別な最適化は前提にしない
Googleの検索セントラルは、生成AI機能向けの最適化ガイドで、AI機能も従来の検索の品質とランキングのシステムの上にあるため、SEOの基本が引き続き重要だと説明しています。llms.txtや専用のマークアップも不要としています。
また、Googleの内部のランキングやAIシステムにアクセスできるサードパーティのツールはないとも明記しており、効果の確認にはSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートを使うよう案内しています。自社の観測値は、あくまで外側から見た目安の位置づけです。
自分で100日測る手順|スプレッドシート1枚から始められる
質問を10問に固定する
まず、自社に関わる質問を10問ほど決め、100日間変えずに使います。指名の質問、地域名つきの質問、一般的な「おすすめ」の質問をバランスよく混ぜると、動く指標と動かない指標の両方が見えてきます。
記録フォーマットと集計の見方
スプレッドシートに、日付・質問・AIの種類・自社名の有無(1か0)を1行ずつ記録します。毎日が難しければ、週1回、同じ曜日・同じ時間帯に測るだけでも構いません。
集計は、質問別とAI別に分けたうえで、月次と週次で見ます。全体の率だけを見ると、動かない大半の質問に隠れて、動いている質問に気づけません。
記録するときの注意点
回答は毎回変わるため、1回の結果で「出た」「出ない」と判断しないでください。同じ質問を複数回聞くか、数週間分をまとめて見るのが基本です。
観測数も必ず一緒に記録します。「3%上がった」という数字だけでは、10件中の差か、1,000件中の差かが分かりません。
100日の数字を、対策の判断にどう使うか

動かない指標は「構造の診断」に使う
0%の質問が続いているなら、その質問で自社が候補に挙がる材料がAI側に足りていないという診断になります。会社概要や実績ページの整備、他サイトでの言及など、AIが参照できる情報を増やす施策の優先度が高いと考えられます。
ただし、施策を行えば出るようになる、とは言い切れません。まずは自社の質問別の現状を把握するところから始めてください。
動く指標は「数週間単位の方向」を見る
揺れる質問は、数週間続けて同じ向きに動いたかどうかで判断します。1日や1週間の上下は、標本の少なさによる揺れの可能性が高いからです。
施策を打ったあとの変化を確かめたいときも、施策の前後で同じ質問を同じ回数だけ聞いて比べるのが基本です。
AccessGEOの観測を使う場合の位置づけ
自分で記録を続けるのが難しい場合は、AccessGEOのような定点観測サービスを使う方法もあります。毎日自動で測り、月次レポートでお届けします。
ただしAccessGEOが対応しているAIはChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsの3つで、PerplexityやClaudeなど他のAIは対象外です。また、観測は質問を固定した外側からの測定であり、実際の検索ユーザーの表示回数とは異なる点には注意してください。
よくある質問
100日測れば、AI検索対策の効果は分かりますか?
100日測ると、質問ごとの「固定された状態」と「揺れる範囲」は分かります。ただし、特定の施策の効果を判断するには、施策の前後を同じ条件で比べる必要があり、観測期間が長いだけでは足りません。
毎日測らないと意味がありませんか?
毎日である必要はありません。自社では日別の率が20.0〜33.3%と揺れましたが、週別・月別では27%前後に収まっています。手作業なら、週1回を同じ条件で続けるほうが現実的です。
0%の質問は、あきらめるべきですか?
あきらめる必要はありませんが、短期間で動く期待は持たないほうがよいです。Googleも、インデックスや表示は保証されないと説明しています。まず、その質問でAIが何を根拠に答えているかを調べるところから始めてください。
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まとめ
2026年7月4日〜10月12日の101日間(89観測日・2,647観測)で、自社言及率は27.5%、月次では27.1〜28.1%に収まりました。6問が0%、指名・地域の3問が高水準で固定され、動いたのは県域SEOの質問とAI Overviewsの出方だけです。
全体の率は、質問ごとの固定された状態の平均で決まります。動かない数字は「構造」、動く数字は「数週間単位の方向」で読み分けるのが、100日測って分かった見方です。
自社の数字をまず確かめたい場合は、質問を固定して、観測数と一緒に記録することから始めてください。ご自身での記録が難しい場合は、無料のGEO診断もご利用いただけます。
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