AI検索の露出に、季節変動はあるのでしょうか。AccessGEOが自社サイトを毎日観測した2026年7月4日〜10月11日の88日・2,617観測では、月次の自社言及率は27.1〜28.0%に収まり、季節の山や谷と呼べる動きは確認できませんでした。
ただし、これは「季節変動がない」という証明ではありません。測れた期間が夏から秋にかけての3か月ちょっとしかなく、1年を通した比較も、年をまたいだ比較もまだできないためです。
この記事では、月次・週次・イベント前後の実測を示したうえで、数字の差が誤差かどうかを見分ける方法と、自社で確かめる手順をまとめます。なお「自社言及率」とは、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに同じ質問を毎日投げ、回答に自社名が出た割合のことです。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
先に結論|夏から秋の月次では、自社言及率はほぼ動かなかった

月次の自社言及率は27.1〜28.0%の範囲だった
観測期間は2026年7月4日〜10月11日、観測できた日数は88日、観測数は合計2,617件です。この全体の自社言及率は27.5%(719/2,617)でした。
月別に見ると、7月は27.1%(211/780)、8月は27.2%(214/787)、9月は28.0%(244/870)、10月1〜11日は27.8%(50/180)です。月ごとの差は最大でも0.9ポイントでした。
「見えなかった」と「ない」は別の話
夏から秋にかけて、露出が目立って上がった形跡も下がった形跡もありませんでした。ただ、季節変動かどうかを言い切るには、少なくとも同じ月を年をまたいで比べる必要があります。
今の時点で言えるのは、「7月〜10月初旬の範囲では、季節を理由に慌てて対策を変える必要はなさそうだ」という実務上の目安までです。それ以上は、データが足りていません。
この記事で分かること
まず、月次・週次・イベント前後で見た自社の実測結果を示します。次に、差が出たときに誤差かどうかを判断する数字の見方、そして自社で季節変動を確かめる手順へと進みます。
「季節変動」と言えるための条件|3種類の揺れを切り分ける
日々の揺れ・構造変化・季節変動は別物
AI検索の数字が動いたとき、原因は大きく3つに分けられます。回答ごとのランダムな揺れ、AIや検索機能の更新、Web側の変化といった構造的な変化、そして季節による周期的な変化です。
季節変動と呼べるのは、毎年同じ時期に同じ方向へ動く場合だけです。1回の上下や、アップデートの前後で起きた変化を季節変動と呼ぶと、判断を誤ります。
季節変動が起きうる理由と、起きにくい理由
起きうる理由として考えられるのは、人が聞く話題の波です。たとえば確定申告の時期に税理士への質問が増えるように、業種によっては情報が増える時期があり、その時期に記事やニュースが増えれば、AIが参照する情報も入れ替わる可能性があります。
一方で、AI回答の仕組みそのものには季節がありません。Googleの公式ガイドによれば、GoogleのAI機能は、検索のランキングシステムで関連性の高い最新のWebページを取得し、それをもとに回答を作る仕組み(RAG。検索で得た情報を使って回答を生成する方法)です。参照先のWebが変わらない限り、回答の傾向も大きくは変わらないと考えるのが自然です。
今回の自社データで確かめること
今回確かめるのは、夏から秋にかけて、自社言及率が一定の方向に動いたかどうかです。月次、週次、休暇やアップデートの前後という3つの切り口で見ていきます。
いずれも自社サイト1つの実測であり、他社や他業種にそのまま当てはまるとは限りません。この点は、最後まで前提として読んでください。
観測の条件|何を、いつ、どう測ったか
観測の設計
AccessGEOは自社サイトを対象に、10個の質問を3つのAI(OpenAIのChatGPT、Gemini、Google AI Overviews)へ毎日投げています。1日あたり最大30観測で、回答に「アクセス・リンク」という社名が含まれるかどうかで自社言及を判定しています。
競合の名前だけが出た回答は、自社言及には数えていません。数値はすべて、この自社基準で集計したものです。
欠測日と、10月分の扱い
7月4日〜10月11日の100日間のうち、観測できたのは88日です。欠測は12日あり、7月15日・24日、8月9日・12日・28日・30日、9月10日、10月1〜5日でした。
とくに10月は1〜5日が欠測のため、観測は6日・180件にとどまります。10月分は参考値として扱い、月次比較の中心は7〜9月に置きます。
曜日の影響は別記事で確認済み
曜日による差は、別の記事で検証済みで、ほぼ差はありませんでした。そのため本記事では曜日の影響は切り離し、月・週・イベント前後の比較に進みます。

月次比較の結果|7月・8月・9月・10月の自社言及率

月別の自社言及率(3AI合計)
まず、3つのAIを合計した月別の自社言及率です。数字はすべて、観測日数と観測数を添えています。
| 月 | 観測日数 | 言及数/観測数 | 自社言及率 |
|---|---|---|---|
| 7月(4日〜) | 26日 | 211/780 | 27.1% |
| 8月 | 27日 | 214/787 | 27.2% |
| 9月 | 29日 | 244/870 | 28.0% |
| 10月(1〜11日) | 6日 | 50/180 | 27.8% |
夏から秋にかけて、上がりも下がりもしていません。0.9ポイントの差が誤差の範囲かどうかは、後の章で確かめます。
AIごとに見ても、同じ方向の山は見えない
Geminiは、7月が33.8%(88/260)、8月が30.8%(80/260)、9月が34.1%(99/290)、10月1〜11日が31.7%(19/60)でした。8月に3ポイントほど下がり、9月に戻っています。
OpenAI(ChatGPT)は、7月が30.4%(79/260)、8月が32.2%(86/267)、9月が31.7%(92/290)、10月1〜11日が33.3%(20/60)です。Geminiとは逆に、8月が少し高くなっています。
Google AI Overviewsは、7月が16.9%(44/260)、8月が18.5%(48/260)、9月が18.3%(53/290)、10月1〜11日が18.3%(11/60)でした。3つのAIが季節に合わせて同じ方向に動いたとは言えません。
設問別|6設問は0%のまま、動いたのは1設問だけ
10個の質問のうち6つは、88日すべてで0%でした(各261〜262観測)。社名を含まない一般的な質問などで、0%のものは季節があっても上下のしようがありません。
もともと高い設問は、月が変わっても高いままです。指名の質問は全期間で93.1%(243/261)、地域MEOの質問は84.7%(221/261)、地域のホームページ制作の質問は77.1%(202/262)でした。
変化が見えたのは県域SEOの質問だけです。7月は17.9%(14/78)、8月は17.7%(14/79)、9月は24.1%(21/87)、10月1〜11日は22.2%(4/18)で、9月に約6ポイント上がりました。
休暇・アップデートの前後で見る|お盆とスパムアップデートの影響
お盆とシルバーウィークの週
お盆を含む8月10〜16日の週は、26.0%(47/181)でした。シルバーウィークにかかる9月14日〜27日の2週は、どちらも27.1%(57/210)です。
全期間の27.5%と比べて、休暇の週に落ちた形跡はありません。少なくとも自社の質問では、企業の休暇時期とAI回答の傾向はつながっていませんでした。
Googleのスパムアップデートの前後
Google検索ステータスダッシュボードによれば、2026年8月スパムアップデートは8月18日に始まり、完了まで約2日でした。9月スパムアップデートは9月24日に始まり、約13日かけて10月上旬に完了しています。
8月18〜21日の自社言及率は25.0%(30/120、4日)で、それ以前の7月4日〜8月17日の27.1%(334/1,231、41日)とほぼ同水準でした。9月24日〜10月8日は27.3%(82/300、10日)で、直前の8月22日〜9月23日の28.3%(248/876、30日)と比べても1ポイント程度の差です。
スパムアップデートは、スパム的な手法を抑えるためのものです。自社の露出に直接の影響が出たとは言えない結果でした。
最高の週と最低の週に何があったか
週別(ISO週、各150観測以上の13週)のレンジは25.0〜31.0%でした。最高は8月31日〜9月6日の31.0%(65/210)、最低は7月13日〜19日の25.0%(45/180)です。
最高だった週は、県域SEOの質問が9/21(42.9%)と、全期間の20.2%(53/262)の2倍ほどに出ていました。週の高低は、季節ではなく、少数の設問の当たり外れで説明できる範囲です。
差は誤差の範囲か|ブレの大きさを数字で確かめる

1日ごとの揺れは、標準偏差で3.6ポイント
日別の自社言及率は、88日の平均が27.4%、標準偏差が3.6ポイントでした。最低は8月23日の16.7%(5/30)、最高は7月7日の33.3%(10/30)です。
同じ質問、同じ設定のまま測っても、1日の数字は数ポイント動きます。AIの回答が毎日変わることは、別の記事で41日間のデータをもとに詳しく扱っています。

月次の0.9ポイントは、誤差の範囲に収まる
7月の27.1%(780観測)の標準誤差、つまり観測数が限られていることによる推定のブレは、おおよそ1.6ポイントです。95%の幅にすると±3.1ポイント前後で、7〜10月の月次差(最大0.9ポイント)はこの幅の中に収まります。
しかも、同じ10個の質問を毎日繰り返しているため、観測同士は独立ではありません。実際のブレはこの計算より大きいと考えるほうが安全です。
設問単位では、さらに差が付きにくい
県域SEOの質問は、月ごとの観測が78〜87件しかなく、標準誤差は4ポイント台、95%の幅は±8ポイント台になります。8月の17.7%と9月の24.1%の差(6.4ポイント)は、この幅に収まります。
そのため、県域SEOの質問が「秋に上がる」とは断定しません。9月以降の上昇が続くか、来年の同じ時期にも出るかを見るまでは、判断を保留します。
季節性が出るとしたら|検索需要の波とAI回答の波は別物
先に動くのは、AIより参照されるWebの側
もし季節性が出るとしたら、AIの仕組みよりも、参照されるWebの側が先でしょう。決算期や繁忙期、補助金の公募時期など、業種ごとに情報が増える時期があり、その時期に新しい記事が増えれば、AIが引用する候補も変わりえます。
ただしこれは仮説で、今回の自社データでは確かめられていません。業種ごとに事情が違うため、一般論としては語れないと考えています。
モデルの更新や回答の揺れは、季節と関係なく起きる
AIモデルの更新や検索機能の変更は、季節とは関係なく不定期に入ります。回答生成時に確率的な選択(サンプリング)が入るため、同じ質問でも毎回の出力は少しずつ違う、という説明がコミュニティでも広く共有されています。
こうした変更や揺れは、季節の変動と見分けにくいのが厄介な点です。だからこそ、定点のデータを長く積み、同じ条件で比べる必要があります。
年をまたいだ比較ができるのは、早くても来年の夏
AccessGEOの観測は2026年7月4日に始まりました。同じ月を年をまたいで比べられるのは、早くても2027年7月以降です。
それまでは「季節変動は未確認」と書くのが正確だと考えています。確認でき次第、あらためてこのブログで報告します。
自分で季節変動を確かめる手順|年間を通して記録する

手順1:質問を固定し、同じ条件で記録する
質問を毎回変えると、数字の変化が質問の違いによるものか、季節によるものか区別できません。5〜10個の質問を決め、文言を変えずに使い続けます。
頻度は週1回でも構いません。同じ曜日・同じ時間帯に、複数のAIで同じ質問を試し、自社名が出たかどうかを表に記録します。
手順2:月ごとに集計し、観測数も書き残す
月ごとに「言及された回数÷観測数」を出し、観測数も一緒に残します。観測数が少ない月は、数ポイントの差が出ても誤差の範囲に入りやすいため、先ほどの±の幅を目安に読みます。
1回の結果だけで判断せず、複数の週・月にわたって同じ方向に動くかを確かめるのがコツです。
手順3:同じ月を翌年と比べる
季節変動かどうかは、前年の同じ月との比較でしか確かめられません。最低でも12か月続け、記録の形式を変えずに残しておきます。
毎日の記録を手作業で続けるのが難しい場合は、自動で定点観測するサービスを使う方法もあります。AccessGEOもその一つで、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsの3つを毎日観測し、月次レポートでお届けしています。対応しているAIはこの3つだけで、それ以外のAIでの露出は測れません。
よくある質問
AI検索の露出に季節変動はありますか?
自社の2026年7月4日〜10月11日、88日・2,617観測では、月次の自社言及率は27.1〜28.0%で、季節変動とは言えませんでした。ただし1年分のデータがなく、年をまたぐ比較もできていないため、「ない」と断定はできません。
繁忙期や決算期に、AIの紹介のされ方は変わりますか?
自社データでは確認できていません。業種によって情報が増える時期は違うため、可能性は否定できないものの、現時点では根拠を示せる状態ではありません。自社の繁忙期の前後で記録を取り、比べてみることをおすすめします。
1週間で数字が3ポイント下がりました。対策が必要ですか?
3ポイント程度の動きは、誤差の範囲に収まることが多いです。自社データでは、日別の標準偏差が3.6ポイント、週別でも25.0〜31.0%の幅がありました。数週間続けて同じ方向に動くか、特定の質問が0%に落ちるといった構造的な変化がないかを確認してください。
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まとめ
夏から秋の88日・2,617観測では、自社言及率は月次で27.1〜28.0%に収まり、お盆やスパムアップデートの前後でも目立った変化はありませんでした。月次の差0.9ポイントは、誤差の範囲に収まります。
ただし、これは季節変動がないという証明ではなく、1年分のデータがまだ無いというだけです。年をまたいで同じ月を比べるまで、季節変動は未確認として扱うのが正確だと考えています。
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