GoogleのAIモードとは、検索結果ページの上部にあるタブから切り替えて使う、会話型のAI検索機能のことです。検索窓に質問を入れると、Googleが複数の関連検索を裏側で走らせ、その結果をもとに文章で回答を返し、根拠になったページへのリンクを添えます。
よく混同されるAI Overviews(AIによる概要)とは、別の機能です。AI Overviewsは通常の検索結果の上に自動で出てくる要約枠で、ユーザーが選んで開くものではありません。
日本語版のAIモードは2025年9月から使えるようになっており、すでに「試したことはある」という経営者の方も増えてきました。
この記事では、AIモードとAI Overviewsが具体的に何が違うのか、中小企業として何をすればいいのか、そして何はしなくていいのかを、Google公式ドキュメントの記述と、当社が72日間・2,137回にわたって自社サイトで続けている実測データの両方から整理します。まず自分で確かめる手順を書き、そのうえで外部に任せる判断基準にも触れます。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
GoogleのAIモードとは、検索結果の中にある「会話できるタブ」のこと

AIモードは、Google検索の結果ページに並んでいる「すべて」「画像」「動画」といったタブのひとつとして用意されています。ここを押すと画面が切り替わり、検索結果の一覧ではなく、質問に対する回答文と参照リンクが表示されます。
見た目はChatGPTのようなチャット画面に近いのですが、中身はGoogle検索です。Googleの検索インデックスから関連ページを引っ張ってきて、それを材料に回答を組み立てています。
AIモードは「自分で選んで開く」機能である
ここがAI Overviewsとの最も大きな違いです。AIモードはユーザーが能動的にタブを押さないと開きません。
検索しただけでは表示されないので、そもそも使っていない人には一生表示されない機能とも言えます。
一方のAI Overviewsは、検索した時点で条件を満たしていれば勝手に出てきます。ユーザーの意思とは関係なく、通常の検索結果の一番上に居座る形です。
この差は、サイト運営者にとっては意味が違ってきます。AI Overviewsは「通常検索の邪魔をする存在」として語られることが多いのに対し、AIモードは「じっくり比較検討している人が自分から入ってくる場所」だからです。
聞き直せることが、参照されるページの幅を広げている
AIモードでは、返ってきた回答に対してさらに質問を重ねられます。「もっと安いところは」「栃木県内だとどうか」「初期費用込みで比較して」といった具合に、会話を続けながら条件を絞り込んでいけます。
Googleの公式ドキュメントでは、AIモードについて「さらなる探索、推論、複雑な比較が必要なクエリで特に役立つ」と説明されています。以前なら複数回の検索を必要とした質問を、一度のやりとりで扱えるようにした機能という位置づけです。
この「聞き直せる」という性質が、参照されるサイトの顔ぶれにも影響します。最初の質問では大手の比較サイトが並んでも、条件を絞り込んでいくと、その条件に具体的に答えているページが引っ張り出されることがあるからです。
AI OverviewsとAIモードの違いを4つの観点で整理する
どちらもGoogle検索の中にあるAI機能で、どちらもGeminiという同じ系統のモデルを土台にしています。それでも挙動はかなり違います。
Google公式も、両者について「異なるモデルと手法を使う場合があり、表示される回答とリンクの組み合わせは変わる」と明記しています。同じ質問をしても結果が一致しない前提で見たほうが実態に合います。
出方の違い:勝手に出るか、開かないと出ないか
AI Overviewsは、Googleのシステムが「通常の検索結果に加えて価値がある」と判断したときにだけ表示されます。公式ドキュメントには「しばしば表示されない」とはっきり書かれています。
実際、当社が毎日観測している10個の質問でも、AI Overviewsが出る日と出ない日が混在しています。AIモードのほうは、ユーザーがタブを開けば必ず何かしらの回答が返ってきます。
中身の違い:要約の入口か、比較検討の場か
AI Overviewsは、Google公式の表現を借りれば「複雑な話題の要点を素早くつかみ、そこからリンクをたどって探索するための出発点」です。文章量は短めで、続きは各サイトで読んでください、という構えになっています。
AIモードは逆に、その場で結論まで持っていこうとします。比較表のような形で複数社を並べたり、条件ごとの向き不向きを説明したりと、回答そのものが長くなる傾向があります。
参照されるサイト数の違い
Google公式ドキュメントによれば、AI OverviewsもAIモードも「クエリファンアウト」という手法を使い、回答を作る過程でより多くの支持ページを特定します。その結果、通常のウェブ検索より幅広く多様なリンクを表示できるとされています。
中小企業にとっては、ここが数少ない前向きな材料です。通常検索で1ページ目に入れない規模の会社でも、参照先の一つとして名前が出る余地は残っているということになります。
AI Overviewsがどんな検索で出て、どんな検索では出ないのかは、当社が41日1,230回の観測で傾向を整理した記事があります。

AIモードが参照先を選ぶ仕組み|クエリファンアウトとは何か
クエリファンアウトとは、ユーザーの質問をモデルが複数の関連検索に分解し、同時に投げて材料を集める仕組みのことです。Google公式ドキュメントに用語として明記されています。
公式が挙げている例はこうです。「雑草だらけの芝生を直すには」という質問に対して、裏側では「芝生に最適な除草剤」「薬剤を使わない除草」「雑草を予防する方法」といった検索が走る、という説明になっています。
質問1つに対して、検索は何本も走っている
つまりAIモードに1回質問したとき、Google側では複数の検索が同時に実行されています。回答に添えられるリンクは、その複数の検索結果から選ばれたものです。
ここで重要なのは、自社が狙っているキーワードそのもので上位を取っていなくても、分解された先の検索で拾われる可能性があるという点です。逆に、狙ったキーワードで1位でも、分解された検索の側で他社が強ければ、回答には他社が並びます。
RAGという仕組みで、回答は検索結果に紐づいている
Googleは生成AI機能の土台としてRAG(検索拡張生成/グラウンディング)という技術を挙げています。AIが記憶から答えるのではなく、検索インデックスから取ってきた最新のページを参照して回答を組み立てる方式です。
この設計のため、AIモードの回答は「Googleが自社サイトをどう評価しているか」と無関係ではいられません。インデックスされていないページは材料にすらなりません。
Googleは「AIモード専用の対策は不要」と明言している

AIモード対策という言葉で何か特別な施策を探している方には拍子抜けかもしれませんが、Googleの回答ははっきりしています。
公式ドキュメントに書かれていること
Google検索セントラルの「AI機能とあなたのウェブサイト」には、AI OverviewsやAIモードに表示されるための追加要件はなく、特別な最適化も必要ないと書かれています。技術要件についても、ページがインデックスされ、スニペット付きで検索結果に表示される資格があればよく、それ以上の要件はないとされています。
同じくGoogleが2026年5月に公開した生成AI向けの最適化ガイドでも、AEOやGEOという言葉に触れたうえで「Google検索の観点では、生成AI検索への最適化は検索体験への最適化であり、つまりSEOである」と整理されています。
これは、GEOという言葉を使っている当社にとっても都合のいい話ではありません。ただ、事実としてそう書かれている以上、隠さずにお伝えするのが筋だと考えています。
それでも会社ごとに差がつくのはなぜか
特別な対策が不要なら、なぜ出る会社と出ない会社に分かれるのか。答えは単純で、土台のSEOと情報整備の差がそのまま出ているからです。
Googleのガイドは、生成AI検索で成果を出すために重要なこととして「独自の視点を持つ、一次情報にもとづくコンテンツ」を挙げています。どこかで読んだ内容を要約しただけのページは、AIから見ても代替可能な情報にしかなりません。
公式が例に出している対比がわかりやすいので紹介します。「初めて家を買う人への7つのアドバイス」のような一般論はコモディティ化した内容で、誰が書いても同じになる。
対して「なぜ我が家は建物検査を省いて費用を抑えたのか:下水管の話」のような記事は、経験した人しか書けない、と説明されています。
中小企業がAIモード対策として実際にやること5つ
ここからは、自社で手を動かせる範囲の話です。どれも外注しなくても着手できる内容にしぼりました。
1. クロールとインデックスの状態を確かめる
最初にやるべきはここです。robots.txtでクロールを止めていないか、noindexが残っていないか、Search Consoleで主要ページがインデックスされているかを確認します。
Googleは「生成AI機能に表示される資格を得るには、通常の検索技術要件を満たしたうえで、Search Console上で生成AI機能への掲載対象になっている必要がある」とも書いています。サイトをSearch Consoleに登録していない場合は、そこから始めてください。
制作会社に任せきりで数年経っているサイトでは、テスト環境時代のnoindexが本番に残っていた、という例も珍しくありません。費用ゼロで直せるうえに影響が大きい部分です。
2. 会社の基本情報を「事実として読める形」で置く
所在地、事業内容、対応エリア、創業年、実績数。こうした情報が画像の中だけに入っていたり、PDFにしか書かれていなかったりすると、AIから見て扱いにくくなります。
Googleのガイドでも「重要なコンテンツはテキスト形式で利用できるようにする」ことが挙げられています。凝ったデザインより、事実がテキストで書かれていることのほうが優先度は高いと考えてください。
3. 一次情報のあるページを1本つくる
自社の施工実績、失敗した案件から学んだこと、価格の内訳、実際に受けた相談の内容。他社が書き写せない情報が入ったページを、まず1本用意します。
本数を増やすことより、1本の中身が具体的であることのほうが効いてきます。Googleも「ページ数が多いこと自体はサイトの質や関連性を高めない」と明記しており、量産を目的にした施策は逆効果になりうると説明しています。
4. Googleビジネスプロフィールを最新にする
地域名を含む質問では、ビジネスプロフィールの情報が回答に影響します。公式ガイドでも、ローカルビジネスの情報整備は生成AIの回答での可視性につながる要素として挙げられています。
営業時間、電話番号、カテゴリ、写真。更新が止まっていないかを確認してください。
当社の観測でも、地域名つきの質問は自社名が出る確率が明確に高く、ここが効いている可能性があります。
5. Search Consoleの生成AIレポートを見る習慣をつける
Search Consoleには、生成AI機能でのパフォーマンスを確認するレポートが用意されています。AI OverviewsやAIモードを含む表示回数が、通常の検索データの中に含まれる形で計測されています。
設定手順や見方は別記事で詳しく解説していますので、まだ開いたことがない方はそちらを参考にしてください。

自社がAIモードでどう扱われているかを自分で調べる手順

対策を考える前に、現状を知る必要があります。費用をかけずに、社内で確認できる方法を書きます。
手順1:質問を10個決めて、紙に書き出す
見込み客が実際に打ちそうな言葉で質問を作ります。「宇都宮 ホームページ制作 おすすめ」のような検索語ではなく、「栃木県でホームページ制作を頼むならどこがいいですか」のような話し言葉にするのがコツです。
内訳の目安としては、指名質問(社名を直接聞く)を1〜2問、地域+サービスを3〜4問、比較検討系を3〜4問、業界の一般的な質問を1〜2問。この配分にしておくと、どの層で弱いのかが見えやすくなります。
手順2:AIモードで同じ質問を数日繰り返す
ここが最も手を抜きやすく、かつ抜くと意味がなくなる部分です。AIの回答は日によって変わるため、1回試して「出なかった」と結論づけるのは早すぎます。
ログイン状態や過去の履歴で結果が変わることもあるので、シークレットウィンドウを使うほうが安定します。最低でも3日、できれば1〜2週間は同じ質問を続けてください。
手順3:名前が出たか、リンクが貼られたかを分けて記録する
表計算ソフトに、日付・質問・自社名が出たか・自社サイトへのリンクがあったか・かわりに出てきた他社名を記録します。この5列で十分です。
名前だけ出てリンクが貼られないケースは実際によくあります。この2つを分けて数えておくと、後から「認知はされているが誘導ができていない」のか「そもそも存在を知られていない」のかを切り分けられます。
なお、10問を毎日3つのAIで観測するとなると、手作業では1日30回の質問と記録が必要になります。ここを自動化して続けているのが当社のAccessGEOですが、まずは手作業で2週間試してみて、続けられそうかを判断されるのがいいと思います。
72日2,137回の実測から見えた、AI検索の実際の動き
ここからは当社の自社サイトでの観測データです。2026年7月4日から9月20日までの72日間、10個の質問をChatGPT(OpenAI)、Gemini、Google AI Overviewsの3つに毎日投げ続け、累計2,137回分の回答を記録しました。
この期間全体で、回答の中に当社名が登場したのは587回、割合にして27.5%でした。10回聞いて3回弱、という水準です。
ソースによって露出率が違う
同じ72日・2,137観測を情報源ごとに分けると、Geminiが33.2%(236/710)、ChatGPTが31.2%(224/717)、Google AI Overviewsが17.9%(127/710)でした。
Google系のAI Overviewsが最も低いという結果です。GoogleのAI機能は検索ランキングに紐づいているぶん、規模の小さい会社にとってはむしろ壁が高い面があるのかもしれません。
ただし、この数字はAI Overviewsのもので、AIモードの数値ではありません。AIモードは自動取得の対象にしづらく、当社でも定点観測の計測対象には含められていません。
ここは当社の観測の限界として正直に書いておきます。
質問の種類で結果がまったく変わる
同じ72日・2,137観測を質問別に見ると、差は極端です。社名を直接聞く指名質問は94.4%、地域+MEOの質問は83.6%、地域+ホームページ制作の質問は76.6%で名前が出ました。
一方、県域のSEO関連の質問は20.6%。そして残る6問は、72日間・1度も名前が出ませんでした。
出ない6問はいずれも「おすすめの会社は」「選び方は」といった、地域名も社名も入らない一般的な質問です。AI検索で名前が出るかどうかは、対策の巧拙より質問の性質でほぼ決まっているというのが、72日続けて見えた実感です。
AIモードで期待できるのは、まさにこの「一般的な質問から条件を絞り込んでいく過程」です。最初の一般質問で出なくても、会話が具体化した先で拾われる可能性は残っています。
AIモード対策として「やらなくていい」と公式が言っていること

Googleは最適化ガイドの中に「誤解を解く」という章を設け、やらなくていいことを名指しで挙げています。営業を受けたときの判断材料になるので、そのまま紹介します。
llms.txtやAI向けの特別なファイル
Googleは「Google検索(生成AI機能を含む)に表示されるために、機械可読ファイルやAI向けテキストファイル、マークアップ、Markdownを新たに作る必要はない。Google検索はそれらを使っていない」と明記しています。
そのうえで「他のサービスのために作って維持するのは全く問題ないが、Google検索の可視性や順位を助けも害もしない」と補足しています。llms.txtそのものについては別記事で扱っていますので、併せてご覧ください。

コンテンツの「チャンク化」とAI向けの書き直し
AIが理解しやすいように文章を細切れにする必要はない、というのが公式の説明です。Googleのシステムは1ページ内の複数の話題を理解し、関連する部分を取り出せるとされています。
AI向けに特別な書き方をする必要もない、とも書かれています。
構造化データの過剰な重視と、不自然な「言及集め」
構造化データは生成AI検索に必須ではなく、追加すべき特別なschema.orgマークアップもない、と公式は述べています。ただしリッチリザルトの対象になるため、通常のSEOの一環として続ける価値はあるとも書かれています。
構造化データをどう扱うべきかは、判断の分かれる論点です。当社でも別記事で3種類にしぼって整理していますので、実装を検討される場合はそちらを参考にしてください。

もうひとつ、ウェブ上で不自然に「言及」を集めようとする手法についても、公式は効果が見た目ほどではないとしています。ランキングシステムは高品質なコンテンツを重視し、別のシステムがスパムを遮断しており、生成AI機能はその両方に依存しているためです。
よくある質問
AIモードに表示されると、サイトへのアクセスは増えますか
増えるとお約束できるものではありません。AIモードは回答の中で完結しやすく、リンクがクリックされない場面も当然あります。
ただしGoogleは、AI Overviewsのある検索結果からのクリックについて「質が高い(サイト滞在時間が長くなる傾向がある)」と述べています。数より中身が変わる可能性はある、という見方が現時点では妥当だと考えています。
AIモードとAI Overviews、どちらを優先して対策すべきですか
どちらか一方を選ぶ、という考え方にはなりません。Googleが「両方に共通して追加の特別な対策は不要」と言っている以上、やることはSEOの基礎整備に集約されるためです。
あえて順番をつけるなら、まずインデックスと会社情報の整備、次に一次情報のあるページ、最後に計測の仕組みという流れになります。
競合が先に対策していたら、もう追いつけませんか
そうとは限りません。当社の72日・2,137観測でも、露出率は月単位で27.1%、27.2%、28.4%と推移しており、固定された順位のようなものは見当たりませんでした。
一方で、短期間で劇的に変わるものでもありません。数か月単位で見る前提で考えてください。
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まとめ
GoogleのAIモードは、検索結果のタブから開く会話型のAI検索です。自動で出てくるAI Overviewsとは、出方も、回答の長さも、参照されるページの幅も違います。
ただし対策という点では、Googleが「追加の要件も特別な最適化も不要」と明言しているとおり、やることはSEOの基礎整備に戻ってきます。
インデックスの確認、会社情報をテキストで書くこと、一次情報のあるページを用意すること。この3つが土台です。
そのうえで、自社が実際にどう扱われているかは測らないとわかりません。当社の72日・2,137観測でも、質問によって0%から94.4%まで結果が割れました。
平均値を眺めても何も見えてこないというのが、続けてみての結論です。
まずは質問を10個決めて、2週間手作業で記録してみてください。それが続かないと感じたときに、初めて自動化や外部サービスを検討すればいいと思います。
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