「会社名を入れて聞けばAIはちゃんと答えてくれるのに、『おすすめのホームページ制作会社は?』と聞くと一度も出てこない」。AI検索で引用されない理由を調べていて、この状態に心当たりがある方は多いはずです。
結論を先に書くと、指名の質問と比較・おすすめの質問では、AIが読みにいく情報源がそもそも違います。指名の質問は自社サイトを読めば答えが作れますが、比較の質問でAIが読むのは第三者が書いた比較記事やまとめページであることが多いためです。
この記事では、当社が自社サイトを対象に2026年7月4日〜8月17日の41日間・1,230回にわたって観測した実測データをもとに、この分断がどれくらいはっきり出るのかを示します。そのうえで、自分で確かめる手順と、手を付ける順番を整理します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
指名では出るのに比較で出ないのは、まったく別の勝負をしているから

41日・1,230回の観測で見えた、きれいな分断
当社は自社サイトを対象に、10種類の質問をChatGPT(OpenAI)・Gemini・Google AI Overviewsの3つに毎日投げ続けています。2026年7月4日〜8月17日の41日間で、観測回数は1,230回になりました。
この期間、自社名が回答文に出てきた割合(自社言及率)は全体で27.2%(334/1,230観測)でした。ただし、この平均値にはほとんど意味がありません。
設問ごとに分けると、数字は極端に割れます。社名を含む指名系の質問では41日・1,230回の観測期間を通じて93.5%、地域名を含む質問では82.9%と78.0%。一方で、比較・おすすめ系の6つの質問は、同じ41日・1,230回の観測ですべて0.0%でした。
1回も出ない、が41日続いたということです。これは「たまたま出なかった」ではなく、構造的に土俵に上がっていないことを示しています。
「言及される」と「引用される」は別の話
ここで用語を1つだけ整理します。言及とは回答文の中に社名が登場すること、引用とは回答の出典リンクとして自社サイトのURLが示されることです。
同じ41日・1,230回の観測で、自社の引用率は19.8%(162/820観測)でした。分母が1,230ではなく820なのは、Geminiの出典リンクがリダイレクトURLで元ドメインを復元できないため、集計から外しているからです。
言及27.2%に対して引用19.8%。名前は出ているのにリンクは付いていないケースが一定数あるということで、AI検索で引用されない理由を考えるときは、この2つを分けて見る必要があります。
「おすすめ・比較」の質問でAIに引用されない3つの理由
理由1:AIは、あなたが想像している言葉で検索していない
Googleは公式ドキュメントで、AI OverviewsとAIモードが「クエリファンアウト」という仕組みを使うと説明しています。これは、ユーザーの1つの質問から、モデルが関連する複数の検索を同時に発行して情報を集める技術です。
公式ドキュメントの例では、「雑草だらけの芝生を直す方法」という質問に対して、「芝生向けの除草剤のおすすめ」「薬品を使わない雑草除去」といった派生クエリが投げられるとされています。つまり、最終的な回答は、元の質問文とは違う検索の結果から組み立てられているわけです。
「中小企業向けのホームページ制作会社のおすすめは?」と聞かれたとき、AIが裏側で何を検索しているかは見えません。自社サイトが元の質問文のキーワードで最適化されていても、派生クエリの側で拾われていなければ材料に入らない可能性があります。
理由2:比較の質問で読まれるのは、自社サイトではなくまとめ記事
Googleは、生成AI機能がRAG(検索インデックスから関連ページを取得して回答を組み立てる仕組み)を土台にしていると説明しています。ChatGPTの検索機能も、質問を複数のサブクエリに分解して複数のページを取得し、そのうち一部だけを引用する挙動が報告されています。
「おすすめの◯◯は?」という質問に答えるには、複数社を横並びで比べた情報が要ります。その条件に合うのは、自社サイトの制作実績ページではなく、第三者が書いた比較記事・ランキング記事・ポータルサイトです。
自社サイトはどう頑張っても「自社が1位です」としか書けません。比較の文脈では、自社サイトの外に自社の名前がどれだけ置かれているかが効いてきます。
理由3:そもそも指名以外の文脈で語られていない
指名系の質問で93.5%出るということは、AIが自社を知らないわけではないという意味です。知ってはいるが、「中小企業向け」「集客に強い」といったカテゴリの代表例としては呼び出されていない状態です。
言い換えると、ブランド名と課題ワードの結びつきが弱い。ここが埋まらない限り、比較の質問で名前が挙がる場面は増えにくいと考えられます。

実測データが示した、引用されない3つのパターン

パターンA:競合は出ているのに、自社だけ出ない
当社の観測では、自社と競合8ブランドを同時に追いかけています。ある地域名つきの比較質問では、41日・1,230回の観測期間を通じて自社の言及率は0.0%でした。
ところが、同じ質問で自社か競合のいずれかが回答に登場した割合は69.9%あります。AIは答えを返していて、そこに他社の名前だけが並んでいるという状態です。
これが一番もったいないパターンで、同時に一番手を打つ価値があるパターンでもあります。需要は確認できているので、あとは自社が材料に入るかどうかの問題だからです。
パターンB:自社も競合も、誰も出ない
一方で、「ホームページ制作会社の選び方・比較ポイントは?」のような質問では、41日・1,230回の観測を通じて自社も競合8ブランドも言及率0.0%でした。
この種の質問にAIは一般論で答えます。特定の会社名を出す必要がないので、社名が出る余地がそもそも小さい。ここに時間を投じる優先度は低いと判断できます。
パターンAとパターンBを見分けられると、限られた工数をどこに置くかがはっきりします。これは1回の確認では出せない、続けて測るからわかる情報です。
パターンC:AIの種類によって、出方がまるで違う
同じ41日・1,230回の観測を3つのソースに分けると、自社言及率はChatGPT(OpenAI)31.0%、Gemini 32.7%、Google AI Overviews 17.8%でした。各ソースの観測数はいずれも410回です。
引用率で見ると差はさらに開き、ChatGPTが28.8%、Google AI Overviewsが10.7%。AI Overviewsはそもそも表示されない検索も多く、対象410回のうち90回(21.9%)は非表示でした。
1つのAIだけで確認して「出ない」と判断すると、実態を取り違える可能性があります。最低でも3つは見たほうが安全です。
まずは自分で確かめる。無料でできる手順

ステップ1:質問を10個、紙に書き出す
いきなりAIに聞く前に、お客様が使いそうな言葉で質問を10個作ります。内訳は、指名系1〜2個、地域系2〜3個、比較・おすすめ系5〜6個が目安です。
指名系は「株式会社◯◯の評判は?」、地域系は「◯◯市でおすすめの△△は?」、比較系は「中小企業向けの△△のおすすめは?」といった形です。ここで比較系を多めに入れておくのが要点になります。
自社の商品名ではなく、お客様が困っているときに打ちそうな言葉で書くこと。社内用語のまま作ると、実態とずれた結果になりがちです。
ステップ2:3つのAIに、同じ質問をそのまま投げる
ChatGPT、Gemini、そしてGoogle検索のAI Overviews。この3つに、同じ質問文をコピーして順番に投げます。
このとき、ログアウト状態やシークレットウィンドウで試すことをおすすめします。過去のやりとりが回答に影響すると、自社に有利な方向へ偏った結果を見てしまうためです。
AI Overviewsは検索語によって表示されないことがあります。当社の観測でも410回中90回は非表示だったので、出ない日があっても異常ではありません。
ステップ3:記録の付け方を決めておく
表計算ソフトに、日付・質問・AI名・自社が出たか・出典に自社URLがあるか・一緒に出た他社名、の6列を作ります。これだけで十分です。
「出たか」と「出典に入ったか」を必ず別の列にしてください。前述のとおり、この2つはずれます。
週に1回、同じ曜日・同じ時間帯にやるのが現実的です。1回だけの結果で判断しないことが、この作業で一番大事な部分になります。
引用されるために、手を付ける順番
最初にやるのは、第三者の土俵に載ること
比較の質問でAIが読むのが第三者のまとめ記事なら、そこに社名が載っていることが前提になります。業界ポータル、地域の事業者一覧、業界団体の会員名簿、発注マッチングサイトなどが該当します。
掲載申請は無料のものも多く、着手のハードルが低いのが利点です。ただし、Googleは公式ドキュメントで「不自然なメンションを追い求めることは見た目ほど有効ではない」と明記しているので、量を稼ぐ目的での大量登録は避けてください。
掲載先を選ぶ基準は、実際に人が読むかどうかです。読者のいないリンク集は、検索側でもAI側でも評価されにくいと考えられます。
次に、自社サイトを「比較の言葉」で書き直す
Googleは、生成AI検索で評価されやすい内容として「独自の視点があること」「一般論の寄せ集めではないこと」を挙げています。公式ドキュメントでは、ありふれた内容の例として「初めて家を買う人への7つのヒント」、独自性のある例として自身の失敗談を含む具体的な体験談が示されています。
比較の質問で拾われたいなら、「誰に向いていて、誰には向いていないか」を自社サイト側に書いておくことが役に立ちます。対応できない条件を正直に書いたページは、他社が書けない情報になります。
価格帯、対応エリア、得意な業種、標準の納期。この4つが数字で書かれていない会社は少なくありません。まずここを埋めるだけでも、比較の材料としての扱いやすさは変わってきます。
やらなくていいと、Googleが公式に言っていること
Google検索セントラルの生成AI最適化ガイド(2026年7月更新)には、やらなくてよいことも書かれています。llms.txtなどの専用ファイルはGoogle検索が読まないこと、内容を細切れにする「チャンキング」は不要なこと、構造化データは生成AI検索の必須条件ではないこと、の3点です。
ただしこれはGoogle検索についての説明で、他のAIサービスがどう扱うかは別の話です。構造化データも、リッチリザルトの観点では引き続き価値があると同ガイドは述べています。
限られた時間をどこに使うか迷ったら、小手先の設定よりも、内容と掲載先を優先するのが現時点では合理的だと考えられます。
それでも、1回の確認では判断できない

日によって答えが変わるので、点で見ると誤読する
当社の41日・1,230回の観測では、日次の自社言及率は20.0%から33.3%の間で毎日揺れていました。設問単位で見ると振れ幅はもっと大きく、ある地域系の質問は7月30日の100%から翌7月31日には33.3%へ落ち、その後66.7%前後まで戻っています。
この揺れの中で1日だけ切り取れば、「出た」とも「出ない」とも言えてしまいます。施策の効果を判断する材料としては使えません。
逆に言うと、41日すべてで0.0%だった6つの質問は、揺れでは説明できない結果です。ここに構造的な課題があると読めるのも、続けて測ったからこそになります。

自分で続けるか、任せるか
ここまでの手順は、すべて無料で自分でできます。質問10個・3AI・週1回なら、慣れれば30分ほどの作業です。
ただ、週1回では今回のような設問別の分断は見えにくく、担当者が代わると記録が途切れがちになります。当社はここを毎日自動で回していて、観測コストは1日あたり約$0.27(41日間の実測平均)でした。
当社が提供しているAccessGEOは、この観測と月次レポートを代行するサービスです。対応しているのはChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsの3つで、PerplexityやClaudeなど他のAIには現時点で対応していません。自分で回せる体制があるなら、まずは手作業から始めていただくのがよいと考えています。
よくある質問
比較の質問で出るようになるまで、どれくらいかかりますか?
期間を保証できるものではありません。AIが参照する検索インデックスの更新や、掲載先のクロール状況によって変わるためです。
当社の観測でも、41日間では0.0%の6設問に変化は出ていません。数週間単位ではなく、数か月単位で見ていく前提で計画するのが現実的です。
AI Overviewsに出ないのは、何か問題があるからでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。当社の観測では、対象410回のうち90回(21.9%)はAI Overviews自体が表示されていませんでした。
特に地域・地図系の検索では表示されない傾向が見られます。その場合は従来の検索結果やマップの対策のほうが効いてくる領域になります。
名前は出るのに出典リンクが付きません。どう考えればいいですか?
AIが自社について「知っている」情報から答えていて、自社サイトを直接参照していない状態と考えられます。当社の観測でも、言及27.2%に対して引用は19.8%(162/820観測)でした。
引用を増やしたい場合は、その質問に対する答えが1ページ内で完結しているかを確認してみてください。複数ページに情報が散っていると、出典として選ばれにくくなる可能性があります。
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まとめ
指名の質問では出るのに比較の質問では出ない。これは能力の差ではなく、AIが参照している情報源が違うことから生まれる分断です。
当社の2026年7月4日〜8月17日・41日間・1,230回の観測では、指名系93.5%・地域系82.9%と78.0%に対し、比較・おすすめ系の6設問は全期間0.0%でした。平均値だけを見ていては、この構造は見えません。
やることの順番は、質問を書き出す、3つのAIで確かめる、競合だけが出ている質問を特定する、第三者の掲載先と自社サイトの記述を整える、の4つです。そのうえで、1回ではなく続けて測る。
まずは今日、自社の比較系の質問を3つだけ投げてみてください。そこに他社の名前だけが並んでいたら、それが最初に手を付けるべき場所です。
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