同じ質問をAIに毎日投げると、AIの回答は毎日変わります。弊社が自社サイトを対象に2026年7月4日から8月17日までの41日間・1,230回の観測を続けたところ、1日ごとの露出率は20.0%から33.3%の間で動きました。
ただし、変わり方は無秩序ではありませんでした。同じ1,230回の観測を7日移動平均に均すと24.8%から29.0%の4.2ポイント幅に収まり、質問のタイプごとに揺れ方がきれいに3つの型へ分かれています。
この記事では実測データをそのまま公開しながら、AIの回答が毎日変わる理由と、1回の結果に振り回されないための見方をお伝えします。自分で確かめる手順も無料でできる範囲で書きました。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
結論:AIの回答が毎日変わるのは不具合ではなく仕様

変わるのはAIの気まぐれではなく、設計上の性質
ChatGPTやGeminiのような生成AIは、次に来る単語を確率で選びながら文章を組み立てています。つまり同じ質問を投げても、選ばれる単語の並びは毎回わずかに変わります。
OpenAIも公式ドキュメントで、チャット補完はデフォルトでは非決定的(non-deterministic)であり、seedを固定しても「ほぼ決定的(mostly deterministic)」までしか保証されないと明記しています。AIの回答が毎回同じにならないのは、そもそも仕様です。
Google AI Overviewsも同じです。Google検索セントラルは、AI Overviewsは「クラシック検索に付加価値があるとシステムが判断したときにのみ表示される」ため、しばしば表示されないと説明しています。
見るべきは1回の答えではなく「変わり方の幅」
ここから導かれる実務上の結論はシンプルです。1回聞いて出なかったことにも、1回出たことにも、ほとんど情報がありません。
意味があるのは、何回聞いたうち何回出たかという比率と、その比率が週単位でどう動いているかです。弊社の41日間・1,230回の観測では、日次で見ると13.3ポイントも動く指標が、7日移動平均では4.2ポイント幅に収まりました。
同じデータでも、見る単位を変えるだけで「不安定な数字」が「安定した数字」に変わります。以下、その中身を実測値で見ていきます。
41日間・1,230回、同じ10問をAIに聞き続けた観測の設計
何を・どこに・どれだけ聞いたか
観測対象は弊社(株式会社アクセス・リンク)自身のサイトです。クライアント様のデータではなく自社データなので、数字をそのまま公開できます。
設計は次のとおりです。指名検索に近い設問から、まったく指名要素のない汎用・比較系の設問まで、意図的に幅を持たせています。
- 観測期間:2026年7月4日〜8月17日(41日間)
- 設問数:10問(指名系1問/地域系2問/汎用・比較系7問)
- ソース:ChatGPT(OpenAI)・Gemini・Google AI Overviews の3系統
- 総観測回数:1,230回(10問 × 3ソース × 41日)
- 記録項目:自社が言及されたか/自社ドメインが引用されたか/AI Overviewsが表示されたか
この41日間・1,230回の観測全体で、自社の言及率は27.2%(334/1,230観測)、引用率は19.8%(Geminiを除いた復元可能な820観測が分母で162件)でした。
費用は1日あたり約$0.28
参考までに、この観測にかかったAPI費用は41日間の合計で$11.56、1日あたり平均$0.28でした。1日30回分の問い合わせでこの水準です。
毎日回すこと自体は、費用面ではそれほど大きな障壁になりません。むしろ手間なのは、結果を毎日同じ基準で判定し、記録し続けるところです。
実測①:日次は13.3ポイント揺れ、7日移動平均は4.2ポイントに収まる

日次の生データはかなり動く
41日間の日次言及率は、最低20.0%(7月23日・8月11日)から最高33.3%(7月7日・8月14日・8月17日)まで動きました。振れ幅は13.3ポイント、標準偏差は3.34ポイントです。
サイトの中身は41日間ほとんど変えていません。それでもこれだけ動きます。
引用率も同様で、日次では10.0%(7月31日)から25.0%まで動きました。ある日の結果だけを切り取れば、良くも悪くも見せられてしまうということです。
移動平均にすると景色が変わる
同じ1,230回の観測を7日移動平均に置き換えると、レンジは24.8%(7月18日)から29.0%(7月10日)の4.2ポイント幅まで縮みます。
さらに前期間との比較では±0.0ポイント、7日移動平均は27.1%から27.1%で横ばいでした。日次では乱高下しているのに、均せばほぼ動いていないという状態です。
| 見る単位 | レンジ(41日・1,230観測) | 幅 |
|---|---|---|
| 日次の言及率 | 20.0% 〜 33.3% | 13.3ポイント |
| 7日移動平均 | 24.8% 〜 29.0% | 4.2ポイント |
| 期間全体の平均 | 27.2%(334/1,230観測) | — |
施策の効果を判断するなら、見るべきは下の2行です。日次だけを追いかけると、施策と無関係な揺れを効果や悪化と誤読しやすくなります。
実測②:揺れ方は設問のタイプで3つの型に分かれた
全体の平均値より示唆的だったのは、設問ごとの内訳です。10問を41日間追いかけると、揺れ方が明確に3つに分かれました。
型1|指名系=ほぼ毎日出る(93.5%)
自社名を含む設問(「株式会社アクセス・リンクの評判は?」)は、41日間123観測のうち93.5%で自社が言及されました。
とはいえ100%ではありません。3ソース中2ソースにしか出ない日が41日中8日ありました。指名検索ですら毎日満点にはならないのが実態です。
型2|地域系=出るが日によって濃淡がある
「下野市でおすすめのホームページ制作会社は?」のような地域系の設問は、41日間の期間平均で78.0%と82.9%でした。
ただし日単位で見ると、3ソース全部に出る日(100%)もあれば、1ソースにしか出ない日(33.3%)もあります。この型がいちばん揺れが大きく、1回の確認では実力を測れない領域です。
型3|汎用・比較系=41日間1度も出ない(0.0%)
一方で、「中小企業向けのホームページ制作会社のおすすめは?」「ホームページ制作会社の選び方・比較ポイントは?」といった汎用・比較系の6設問は、41日間・1,230回の観測すべてで自社の言及が0.0%でした。
これは揺れではありません。揺れているのは型1と型2で、型3は最初から土俵に上がっていない状態です。
毎日変わる指標と、まったく変わらない指標を分けて見ないと、打つべき手を間違えます。前者は待てばよく、後者はコンテンツを作らないと永遠に0のままです。

実測③:ChatGPT・Gemini・AI Overviewsで結果が違う

3つのAIで言及率が最大14.9ポイント違った
同じ10問を同じ日に投げても、AIごとに答えは違います。41日間で各ソース410観測ずつ、合計1,230観測の内訳は次のとおりでした。
| ソース | 観測数(41日) | 自社言及率 | 自社引用率 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | 410回 | 31.0% | 28.8% |
| Gemini | 410回 | 32.7% | —(引用元URLが復元不可) |
| Google AI Overviews | 410回 | 17.8% | 10.7% |
ChatGPTとGoogle AI Overviewsでは13.2ポイント、GeminiとGoogle AI Overviewsでは14.9ポイントの差がありました。
つまり「ChatGPTで確認したら出た」は、Google AI Overviewsでも出ることを意味しません。最低でも3系統は別々に見る必要があります。
AI Overviewsはそもそも表示されない日がある
Google AI Overviewsについては、41日間410回の観測のうち90回(21.9%)でAI Overviews自体が表示されませんでした。1日あたりの非表示件数は0回から7回まで動いています。
Google検索セントラルの説明どおり、AI Overviewsはシステムが有益と判断した検索にのみ表示されます。出なかった日は、自社の評価が下がったのではなく、そもそもAI Overviewsが出ていないだけというケースが混ざります。

なぜAIの回答は毎日変わるのか。3つの理由
理由1|生成AIは確率で単語を選んでいる
生成AIは、これまでの文脈から次に来る単語の確率分布を計算し、そこからサンプリングして文章を作ります。温度(temperature)というパラメータがこの散らばりの広さを決めています。
温度を0に近づけても完全な再現性は得られません。OpenAIは、seedとリクエストパラメータ、system_fingerprintがすべて一致しても、応答が異なる可能性が残ると説明しています。
理由2|モデルとインフラが静かに更新される
モデルの重みや、それを動かすサーバー構成は、利用者に告知されないまま更新されることがあります。OpenAIはこの状態をsystem_fingerprintという識別子で表し、年に数回変わりうるとしています。
こちらが何もしていなくても、向こう側が変わる。ここが従来の検索順位モニタリングとの大きな違いです。
理由3|引用元になる情報が日々入れ替わる
AI Overviewsは、Googleの検索ランキングシステムを土台に、関連ページを取得して回答を組み立てる仕組み(RAG)を使っています。
元になる検索インデックスが毎日更新される以上、引用されるページの顔ぶれも毎日変わります。競合が1本記事を出しただけで、翌日の引用先が入れ替わることもあります。
この3つが重なるため、AIの回答は毎日変わります。逆に言えば、変わること自体を前提に設計された測り方をすれば、ノイズと本当の変化を分けられます。
自分で「変わり方」を確かめる手順と、振り回されないための4つのルール

無料でできる最低限のやり方
ツールを入れなくても、変わり方の当たりはつけられます。おすすめは週1回・3週間の簡易観測です。
- 設問を3つ決める(指名系1問・地域系1問・汎用比較系1問)
- 毎回、必ずログアウト状態またはシークレットウィンドウで聞く(過去の会話履歴の影響を避けるため)
- ChatGPT・Gemini・Google検索のAI Overviewsの3か所で同じ設問を投げる
- 自社名が出たかどうかだけを「○/×」で記録する
- 3週間で9回分たまったら、○の数を数える
9回中2回しか出ない設問と、9回中9回出る設問では、打つべき手がまったく違います。ここまでやって初めて、施策の優先順位を決められます。

記録するのは「出た/出ない」だけでいい
回答文の細かいニュアンスまで記録しようとすると、まず続きません。最初は出たか出ないかの2値で十分です。
弊社の観測でも、主要な示唆はすべてこの2値から出ています。回数を積むほど、1回あたりの精度の粗さは効かなくなります。
1回の結果に振り回されないための4つのルール
実際に41日間の観測を運用してみて、社内で守っているルールが4つあります。
- 1回だけの結果で判断しない。最低でも同じ設問を9回以上投げてから話す
- 日次の数字ではなく7日移動平均で語る(弊社の実測では幅が13.3ポイント→4.2ポイントに縮みました)
- 「毎日揺れている設問」と「ずっと0%の設問」を分けて管理する
- AI Overviewsが非表示だった回を、露出ゼロと同じ扱いにしない
特に4つ目は見落としやすいところです。弊社の41日間410観測でも21.9%はAI Overviews自体が出ておらず、これを混ぜると数字が実態より低く見えます。
よくある質問
AIの回答が毎日変わるなら、対策しても意味がないのでは?
揺れているのは、すでに露出がある設問です。弊社の41日間・1,230回の観測では、指名系93.5%・地域系78.0%〜82.9%が日ごとに揺れる一方、汎用・比較系の6設問は41日間ずっと0.0%のままでした。
0%の設問は待っても変わりません。まず土俵に上がるためのコンテンツが必要で、そこは施策の効きどころです。
何回くらい聞けば「変わり方」がわかりますか?
弊社の実測では、7日分(設問あたり21観測)を集めた時点で移動平均が落ち着きはじめました。週1回・3週間の簡易観測でも傾向の当たりはつきます。
ただし判断の確度を上げたいなら、毎日の観測を1か月続けるのが確実です。日数が増えるほど、施策の効果と偶然の揺れを切り分けやすくなります。
同じ質問をしても、人によって答えが違うのはなぜですか?
会話履歴、アカウント設定、地域、使っているモデルのバージョンが影響します。比較したいときは、全員がログアウト状態か、同じ条件で聞くようにそろえてください。
弊社の観測でも、条件をそろえずに測った数字は比較に使わないことにしています。
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まとめ
AIの回答が毎日変わるのは、生成AIの確率的な仕組み、モデルとインフラの更新、引用元インデックスの入れ替わりという3つが重なった結果です。仕様である以上、なくすことはできません。
弊社の41日間・1,230回の実測では、日次の言及率は20.0%〜33.3%(幅13.3ポイント)と大きく動いた一方、7日移動平均では24.8%〜29.0%(幅4.2ポイント)に収まりました。
見るべきは1回の答えではなく、変わり方の幅と、その幅が週単位でどう動いているかです。まずは週1回・3週間の簡易観測から始めてみてください。
継続的に測る手間を外に出したい場合は、AccessGEOがChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsの3系統を毎日観測し、月次レポートでお届けします。
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