「〇〇でおすすめの会社は?」とChatGPTに聞いたら、競合の社名は挙がったのに自社は一度も出てこない。AI検索を試した経営者の方から、いちばん多く聞くのがこの話です。
先に結論を書きます。この状態は、AIに嫌われているわけでもペナルティを受けているわけでもありません。原因はほぼ2つ、「AIが自社のページを読める状態になっていない」か「その質問にAIが答えるときに参照する情報の中に自社が存在していない」かのどちらかです。
ただし、手を付ける前に必ずやるべき切り分けがあります。「競合だけが出ている質問」と「自社も競合も誰も出ていない質問」は見た目が同じ0%でも、打ち手も期待できる成果もまったく違うからです。この記事では自社サイトを60日間・1,776回観測した実測データをもとに、その見分け方と着手の順番を書きます。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
「競合はAIに出るのに自社は出ない」が起きる仕組み

AIは検索インデックスからページを取ってきて答えている
Google検索セントラルの公式ガイドは、AI OverviewsやAI Modeといった生成AI機能の裏側で2つの技術が動いていると説明しています。ひとつはRAG(グラウンディング=検索インデックスから関連ページを取り出し、その内容を根拠にして回答を作る仕組み)です。
もうひとつがクエリファンアウトで、ユーザーの質問1つから関連する複数の検索を同時に投げ、集めた結果をまとめて回答にします。つまりAIは、その場で知識を思い出しているのではなく、検索結果を読んで書いているということです。
この前提から、同ガイドは明確な条件を示しています。生成AI機能に表示される対象となるには、そのページがインデックスされ、スニペット付きで検索結果に表示できる状態である必要がある、という条件です。
言い換えると、競合だけが出ているとき、多くの場合は「AIが競合を選んで自社を落とした」のではありません。AIが参照した候補の中に、そもそも自社が入っていなかったのです。
「出ない」には性質のまったく違う2種類がある
ここが最も大事なところです。自社が出ない質問には、競合は出ているのに自社だけ出ないケースと、自社も競合も誰も出ないケースの2種類があります。
前者は、AIがその質問で会社名を挙げる意思を持っている質問です。枠は開いているのに自社が入っていないだけなので、取りに行く価値があります。
後者は、AIがそもそも固有名詞を挙げず、一般論で答える質問です。ここに労力を投じても、回答の形式そのものが変わらない限り社名は出てきません。この2つを分けないまま着手すると、成果が出ない側に時間を使い続けることになります。
まず切り分ける:3階層の質問で自社と競合を並べて聞く
指名系・地域系・汎用比較系の3つに分けて質問する
切り分けは、質問を3つの階層に分けるところから始めます。特別なツールは要りません。
- 指名系:「株式会社〇〇の評判は?」「〇〇という会社について教えて」
- 地域系:「△△市でおすすめの〇〇業者は?」「△△市で〇〇に強い会社は?」
- 汎用比較系:「〇〇のおすすめは?」「〇〇会社の選び方は?」「〇〇は自社と外注どちらがいい?」
この3つを、それぞれ5問程度用意します。そのうえで回答に出てきた会社名をすべてメモし、自社と競合を同じ表に並べます。
3つのAIで、日を変えて複数回聞く
1回の質問で判断してはいけません。同じ質問でもAIごと、日ごとに答えが変わるためです。最低でもChatGPT・Gemini・GoogleのAI Overviewsの3つで、数日にわたって聞いてください。
実際、当社が2026年7月4日〜9月7日の60日間・1,776回にわたって観測した結果では、自社の言及率はChatGPT(OpenAI)31.7%、Gemini 32.9%、Google AI Overviews 18.0%と、ソースによって最大15ポイント近い差がありました。同じ会社・同じ質問でも、どのAIで聞いたかで景色が変わります。

実測データ:質問の階層が変わると、ここまで差が出る

指名系93.8%、汎用比較系0.0%という落差
当社は自社サイトを対象に、10問の質問を3つのAIに毎日投げ続けています。2026年7月4日〜9月7日の60日間・1,776回の観測で、質問ごとの自社言及率は次のようになりました。
| 質問の階層 | 自社が出た割合 | 自社か競合の誰かが出た割合 |
|---|---|---|
| 指名系(自社名で聞く) | 93.8% | 93.8% |
| 地域系A(市名+MEO) | 84.2% | 84.2% |
| 地域系B(市名+おすすめ) | 77.5% | 78.6% |
| 県名+比較 | 20.2% | 65.7% |
| 近隣市名+おすすめ | 0.0% | 65.7% |
| 汎用比較系(選び方・おすすめ) | 0.0% | 0.0〜7.9% |
指名系では60日間ほぼ毎回出てくるのに、汎用比較系では60日間・180観測すべてで一度も出ませんでした。同じ会社の話です。
「競合だけ出ている」設問は右端の数字で見分ける
表の右端に注目してください。「近隣市名+おすすめ」は自社0.0%なのに、自社か競合の誰かが出た割合は65.7%あります。これがまさに、競合だけがAIに出ている状態です。
一方、汎用比較系の「〇〇の選び方は?」は自社0.0%、誰かが出た割合も0.0%でした。AIは会社名を挙げず、チェックポイントの一般論で答えていたのです。
同じ0%でも、前者は枠が空いている、後者は枠自体が存在しない。手を付けるのは前者からです。
手順1:AIが自社サイトを読める状態か確認する
Google側:インデックスとスニペットの2点
前述のとおりGoogleの生成AI機能は、インデックスされていてスニペット表示が可能なページを前提にしています。ここが崩れていると、コンテンツをいくら足しても土台に乗りません。
Search Consoleの「URL検査」で主要ページを1つずつ調べ、インデックス登録されているかを確認してください。あわせて、noindexやnosnippet、max-snippetの制限が意図せず入っていないかもチェックします。
なお、Googleは「要件を満たしていてもクロール・インデックス・表示が保証されるわけではない」とも明記しています。条件を整えることは必要ですが、それだけで表示が確定するわけではない点は押さえておいてください。
ChatGPT側:OAI-SearchBotを止めていないか
ChatGPTは別系統です。OpenAIのヘルプセンターは、サイトを検索結果の対象にするにはOAI-SearchBotのクロールを許可し、サーバーやCDNがOpenAIの公開searchbot IPアドレスからのアクセスを遮断していないことを確認するよう案内しています。掲載は保証されない、とも併記されています。
ここは中小企業サイトで意外と引っかかります。セキュリティプラグインやWAF、CDNのボット遮断設定が、良かれと思ってAI系クローラーをまとめてブロックしているケースです。
robots.txtを開いて、OAI-SearchBotをDisallowしていないか目視で確認してください。制作会社に依頼している場合は、サーバー側のボット遮断リストも一度見てもらうと確実です。
手順2:競合が引用されているページを開いて読む

引用元リンクを1つずつ開くのが最短
競合が出てくる質問をChatGPTでもう一度聞き、回答に付いている出典リンクをすべて開いてください。ここで多くの方が驚くのが、引用元が競合の自社サイトとは限らないという点です。
第三者が書いた比較記事、業界ポータルの掲載ページ、口コミサイト、地域メディアの取材記事。こうした「他人の書いたページ」に競合の名前が載っているために、AIがその名前を拾っているケースが相当あります。
つまり差の正体は、自社サイトの出来ではなく、ウェブ上に自社の名前が載っている面の数だったりします。
自社に「無い面」をリストにする
開いたページを、自社サイト/第三者の比較記事/ポータル・名鑑/口コミ・レビュー/取材記事の5種類に分類してみてください。そのうえで、競合には存在して自社には存在しない種類を洗い出します。
当社の実測でも、追跡している8ブランドのうち言及件数では首位(60日間・1,776観測で489件)でありながら、汎用比較系の質問では6設問すべてが0%でした。全体の露出量と、特定の質問での露出は別物だということです。

手順3:足りない面を、自社にしか書けない情報で埋める
ありふれた記事では差は埋まらない
Google検索セントラルの公式ガイドは、生成AI検索での存在感に長期的にいちばん影響するのは「独自で価値のあるコンテンツ」だと述べています。同ガイドは具体例として、「初めて家を買う人への7つのヒント」のような一般知識の寄せ集めをコモディティ(ありふれた)コンテンツと呼び、避けるべきものとして挙げています。
対比として挙げられているのが「なぜ我が家は住宅診断を省いて費用を抑えたのか:排水管の内側」のような、実体験に基づく一次情報です。誰でも書ける内容ではなく、その人にしか書けない内容が求められているということです。
中小企業がすでに持っている一次情報
難しく考える必要はありません。日々の業務で溜まっているものが、そのまま一次情報になります。
- 実際の見積書をもとにした費用の内訳と、その金額になった理由
- 断った案件の理由(自社が向いていないケースを正直に書く)
- 施工・納品後に起きたトラブルと、その対処
- その地域特有の事情(気候・条例・商習慣)が仕事にどう影響するか
- 問い合わせで実際によく聞かれる質問と、現場としての回答
これらは競合も生成AIも書けません。「競合だけ出ている質問」に対して、その質問に答える形の一次情報ページを1本作る。これが最も費用対効果の高い一手です。
やらなくていいこと(工数を吸われやすい打ち手)
llms.txt・チャンク化・構造化データの「必須」扱い
Googleの公式ガイドは、俗に言われるGEO・AEOの手法について珍しくはっきり書いています。Google検索はllms.txtを使っておらず、無視すること。コンテンツを細切れにする「チャンク化」は不要であること。構造化データは生成AI検索の必須要件ではないこと。
ただしこれはGoogle検索についての話で、他社のAIサービスがこれらのファイルをどう扱うかは別問題です。構造化データについても、リッチリザルトの対象になるためSEO施策としては続ける価値がある、と同ガイドは補足しています。
要は、優先順位の問題です。これらを整える前に、インデックスと一次情報のほうが先だということです。
「言及」を人為的に増やしにいく
競合との差を見ると、まとめサイトや名鑑への一括掲載でウェブ上の言及数を増やしたくなります。ここもGoogleが明確に釘を刺していて、ウェブ上で不自然な「言及」を求めることは見た目ほど有効ではない、としています。
コアランキングシステムが高品質なコンテンツを重視し、別のシステムがスパムをブロックしていて、生成AI機能はその両方に依存しているためです。掲載自体が悪いのではなく、中身の伴わない掲載を数だけ積んでも効かない、という話として読むのが正確です。
結局、何から手を付けるか(優先順位)

4ステップの順番
- 3階層の質問を15問つくり、3つのAIで数日間聞いて記録する(自分でできる・費用ゼロ)
- 「競合だけ出ている質問」と「誰も出ない質問」に仕分ける
- インデックス状況とOAI-SearchBotの通り道を確認し、詰まりを直す
- 競合だけ出ている質問に対して、一次情報のページを1本ずつ作る
3番までは、その日のうちに着手できます。4番だけが時間のかかる作業なので、1〜3を飛ばしていきなり記事制作に入らないことが重要です。
効果の測り方と、時間の感覚
Google側の変化は、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで確認できます。2026年8月末に全サイトへ展開され、AI OverviewsやAI Modeなど生成AI機能経由の表示・クリックを見られるようになりました。
ChatGPTやGeminiには同等のレポートがないため、実際に質問して回答を記録する外形的な観測が必要になります。当社の実測でも、地域系の質問で自社露出が1日あたり33.3%まで落ちてから100%に戻る、といった揺れが日常的に起きていました(60日間・1,776観測)。1回や2回の確認では、改善したのか揺れただけなのか判別できません。
なお、Googleは第三者ツールについて「内部のランキングやAIシステムにアクセスできる第三者ツールは存在しない」と注意喚起しています。当社のAccessGEOも例外ではなく、実際にAIへ質問して回答を記録していく外側からの観測です。この記事の数字も、その方法で取ったものです。
よくある質問
記事を1本足したら、どのくらいで競合との差は縮まりますか
期間を断言することはできません。AIが参照するのは検索インデックスなので、まずインデックス登録されるまでの時間があり、そのうえで回答の候補に入るかどうかは別の判断だからです。
現実的には、週に1回同じ質問を投げて数字を記録し、1〜2か月単位の傾向で見るのが妥当です。日ごとの上下だけを見ていると判断を誤ります。
競合が出てくる質問文は、どうやって探せばいいですか
実際の見込み客が使う言葉から作るのが確実です。問い合わせフォームや電話で聞かれた内容、営業の場で出た質問をそのまま質問文にしてください。
キーワードツールの検索語より、会話で出た言い回しのほうがAIへの質問文に近くなります。地名や条件(予算・納期・規模)を足したパターンも一緒に用意しておくと、どの層で差が出ているか見えやすくなります。
AIが自社について事実と違う説明をしている場合はどうすればいいですか
AIの回答を直接書き換える手段は、企業側にはありません。できるのは、正しい情報が載った参照元を整えることです。
自社サイトの会社概要・サービスページで事業内容や対応エリアを明記し、Googleビジネスプロフィールなど公式の情報も最新に保ってください。誤情報が第三者サイト由来の場合は、その運営者へ訂正を依頼する必要があります。名誉毀損など法的な対応を検討する段階では、弁護士など専門家にご相談ください。
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まとめ
競合はAIに出るのに自社は出ない。この状態で最初にやるべきは、記事を書くことでも、ツールを契約することでもありません。「競合だけ出ている質問」と「誰も出ない質問」を仕分けることです。
当社の60日間・1,776回の観測では、同じ0%でも、誰かが65.7%の確率で出ている質問と、誰も出ない質問が混在していました。前者は枠が空いているだけで、後者はそもそも枠がありません。
仕分けが終わったら、インデックスとクローラーの通り道を確認し、競合が引用されているページを開いて自社に無い面を特定する。そのうえで、自社にしか書けない一次情報でその面を埋めていく。この順番で進めれば、限られた時間を成果の出る側に集中させられます。
15問の質問リストを作って3つのAIに聞いてみる。まずはここからで十分です。
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