「〇〇市 ホームページ制作」とAIに聞いたとき、返ってくる会社の顔ぶれは、市の名前がひとつ変わるだけで丸ごと入れ替わります。当社が自社サイトを48日間・1,416回にわたって観測したところ、拠点のある市を指定した質問では自社が83.0%の確率で名前を挙げられたのに対し、車で30分ほどの隣の市を指定した質問では0.0%、つまり1度も出てきませんでした。
地域ビジネスのAI検索対策で最初に理解すべきなのは、この落差です。AIは「近いから」「実績があるから」で会社を選んでいるのではなく、web上にその地域名と結びついた情報がどれだけ残っているかを手がかりにしています。
この記事では、実際に毎日AIへ同じ質問を投げ続けた実測データをもとに、「地域+業種」の質問にAIが何を返しているのか、なぜ隣の市では0%になるのか、そして費用をかけずに自分で確かめて手を打つ方法を順に説明します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
結論:「〇〇市 ホームページ制作」の答えは、市の名前が変わるだけで反転する

先に結論から書きます。地域名を含む質問へのAIの答えは、地域名が1つ変わっただけで、同じ会社が「常連」から「圏外」へ変わります。
以下は当社(株式会社アクセス・リンク/栃木県下野市)が、自社サイトを対象に ChatGPT・Gemini・Google AI Overviews の3つへ毎日同じ10問を投げ続けた結果です。観測期間は2026年7月4日〜8月24日の48日間、観測回数は合計1,416回になります。
拠点の市では83.0%、隣の市では0.0%
| AIに投げた質問 | 自社が名前を挙げられた割合 |
|---|---|
| 下野市でMEO・地図対策に強い会社は? | 83.0% |
| 下野市でおすすめのホームページ制作会社は? | 77.5% |
| 栃木県でSEOに強いホームページ制作会社は? | 16.9% |
| 宇都宮市でおすすめのホームページ制作会社は? | 0.0% |
| 中小企業向けのホームページ制作会社のおすすめは? | 0.0% |
(観測期間 2026-07-04〜08-24・48日・全10設問で合計1,416回の観測。表は設問ごとの期間平均)
業種も、聞き方も、答えている会社も同じです。違うのは地域名だけ。それでも拠点の市では8割、隣の市では0割という結果になりました。
しかも宇都宮市の質問では、当社が追跡している8ブランドのうちいずれかは67.6%の確率で名前を挙げられています。つまり「その質問にAIが答えていない」のではなく、答えてはいるが当社が候補に入っていないという状態です。
「名前が出る」と「サイトが引用される」は別の話
AI検索の見え方には2段階あります。回答文の中で社名に言及されることと、出典リンクとして自社サイトのURLが引用されることです。
同じ48日1,416回の観測で、自社の言及率は27.0%(382/1,416観測)、引用率は19.9%(Geminiを除いた復元可能な946観測が分母)でした。名前は挙がってもリンクは付かない、というケースが一定数あります。
実測データで見る「地域+業種」の質問にAIが返すもの
ここからは、48日1,416回の観測データをもう少し分解して見ていきます。地域ビジネスのAI検索対策を考えるうえで、押さえておきたい傾向が3つあります。
AIごとに、同じ質問でも答えが違う
| AI | 観測回数 | 自社が名前を挙げられた割合 |
|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | 476回 | 31.3% |
| Gemini | 470回 | 32.1% |
| Google AI Overviews | 470回 | 17.4% |
(観測期間 2026-07-04〜08-24・48日・合計1,416回)
ChatGPTとGeminiはほぼ同じ水準ですが、検索結果の上に出るGoogle AI Overviews(AIによる概要)は半分程度にとどまりました。
つまりどのAIで確認したかによって、見える景色がまるで違うということです。「ChatGPTで調べたら出てきたから大丈夫」と判断すると、Google側の実態を見落とします。
AI Overviewsは、地域系の質問ではそもそも出ないことがある
Google AI Overviewsは、すべての検索に出るわけではありません。同じ観測期間の470回のうち107回(22.8%)は、AIによる概要そのものが表示されませんでした。
これはGoogleの公式ドキュメントの説明とも一致します。AI Overviewsは「従来の検索結果に対して付加価値があるとシステムが判断したときにのみ表示され、多くの場合は起動しない」と明記されています。
地域名を含む質問は、地図やローカルパックのほうが答えとして適していることが多く、AIによる概要が出にくい傾向があります。裏を返せば、この領域では従来のMEO・ローカルSEOがまだ強く効くということです。
数字は日によって揺れる。1回の確認では判断できない
同じ48日間で、日ごとの自社言及率は16.7%〜33.3%の間で上下しました。何も施策をしていない日でも、AIの答えは毎日少しずつ変わります。
ある日たまたま出なかったからといって「AIから消えた」わけではありませんし、逆に1回出たから安心ということでもありません。地域ビジネスのAI検索対策では、点ではなく線で見ることが前提になります。

なぜ隣の市では0%になるのか

距離的には近く、実際に商圏でもある隣の市で、なぜ1度も名前が出ないのか。理由は大きく3つに整理できます。
理由1:AIは「web上に残っている第三者の情報」を材料にしている
生成AIは、自社サイトの中身だけを見て会社を推薦しているわけではありません。web全体から集めた記事・一覧サイト・口コミ・ニュースなどを材料に、質問に合いそうな候補を組み立てます。
そのため自社サイトに書いてあるかどうかよりも、外部に何枚の情報が残っているかのほうが効きやすい構造になっています。拠点の市は取引実績や紹介記事が積み上がっている一方、隣の市はその蓄積がまだ薄い、という差がそのまま出ます。
理由2:地域名を含むページが1枚もなければ、候補にすら入らない
AIが候補を集める段階では、質問文と一致する語を含むページが手がかりになります。「宇都宮市」という語と自社名が同じページに存在しなければ、そもそも検討の土俵に上がりません。
Googleの検索セントラルは、AI Overviews や AI Mode に出るための特別な最適化や専用マークアップは不要で、通常のSEOの基本がそのまま有効だと説明しています。つまり、地域名を含むページを用意してインデックスさせるという地味な作業が、そのままAI検索対策になります。
理由3:ローカル検索の評価軸そのものが「距離」だけではない
Googleビジネスプロフィールのヘルプでは、ローカル検索結果の順位は関連性・距離・知名度の3要素で決まると説明されています。知名度には、web上のリンクや記事、口コミの数と評価も含まれます。
地元では知名度がある会社でも、隣の市という単位で見ると関連性と知名度が一気に下がります。AI検索でも、これと似た形で結果が分かれています。

自分で確かめる方法(無料・15分)
ここまでの話は、御社でもそのまま再現できます。ツールも費用も要りません。所要時間はおよそ15分です。
手順1:質問を3種類つくる
聞き方を変えると答えが変わるので、最低3種類は用意します。自社の状態を立体的に把握するための基本セットです。
- 指名系:「株式会社〇〇の評判は?」(ブランドが認識されているかを見る)
- 地域系:「〇〇市でおすすめの△△会社は?」(商圏でのAI露出を見る)
- 比較系:「△△を頼むならどこがいい?」(地域名なしの一般質問で出るかを見る)
地域系は、拠点の市だけでなく商圏の隣の市でも必ず1問つくってください。今回のデータのとおり、ここに一番大きな差が出ます。
手順2:3つのAIに同じ質問を投げる
ChatGPT・Gemini・Googleの検索結果(AIによる概要)の3つで、同じ文面を投げます。文面を1文字も変えないことが大切です。
前述のとおり3者で結果が20ポイント近く違うことがあるため、1つだけで判断すると誤った結論になります。Googleは検索窓に質問文をそのまま入力し、上部にAIによる概要が出るかどうかも記録します。
手順3:記録の取り方
スプレッドシートに、日付・AI名・質問・自社名が出たか・引用リンクに自社URLがあったか・一緒に挙がった他社名、の6列を作って記録します。
これを最低でも2週間、できれば1か月続けてください。1回や2回では、揺れなのか傾向なのか判別できません。
手順の詳細と、質問文のテンプレートは次の記事にまとめてあります。

地域ビジネスのAI検索対策として、先にやること

測って現状が分かったら、手を打つ順番があります。効果が出るまでの速さと、かかる手間のバランスで並べました。
1:商圏の市ごとに「地域名+業種」のページを1枚ずつ用意する
最優先はこれです。隣の市で0%になっている最大の原因は、その地域名と自社名が同じページに存在していないことだからです。
サービス紹介の使い回しではなく、その市での施工事例・対応エリア・アクセス・その地域特有の事情を、実際の中身として書きます。地域名を差し替えただけの量産ページは、検索エンジンからもAIからも評価されにくくなります。
2:Googleビジネスプロフィールを整える
AI Overviewsの地域系の質問では、ビジネスプロフィールの情報が土台になります。Googleの公式ドキュメントも、AI機能への対応のひとつとしてビジネスプロフィール情報を最新に保つことを挙げています。
- 業種カテゴリ・営業時間・対応エリアを正確に登録する
- 実際の施工写真や店舗写真を継続的に追加する
- 口コミへ返信し、件数と評価を積み上げる
知名度はローカル検索の3要素のひとつなので、ここを放置したまま記事だけ増やしても伸びにくくなります。
3:第三者のサイトに自社の名前を残す
AIは自社サイトの自己申告よりも、外部に残った言及を重く見る傾向があります。地元の商工団体、業界ポータル、取引先の導入事例、地域メディアへの寄稿などが該当します。
数を狙うより、地域名と業種が明記された質の高い1枚を取りにいくほうが効率的です。
4:会社概要と対応エリアを、AIが読み取れる形で書く
会社概要ページに、所在地・対応エリア・事業内容・創業年をテキストで明記します。対応エリアは「関東一円」のような広い表現ではなく、市町村名を列挙するほうが質問文と一致しやすくなります。
やっても効かないこと・注意点

最後に、期待値を正しく持つための注意点です。ここを誤解したまま予算を投じると、成果の判断ができなくなります。
「必ずAIに表示される」方法は存在しない
Googleの公式ドキュメントは、要件や推奨事項をすべて満たしていても、クロール・インデックス・掲載が保証されるわけではないと明記しています。AI Overviewsも、システムが付加価値があると判断したときにのみ表示されます。
したがって「必ず出ます」「順位が上がります」と断言する提案は、根拠を確認したほうがよいということになります。できるのは、候補に入る確率を上げることまでです。
効果は数週間単位。1週間で判断しない
ページを追加してからAIの回答に反映されるまでには、クロールとインデックスの時間が必要です。数日で変わることもあれば、1か月以上かかることもあります。
前後の比較は、最低でも4週間の移動平均で見るのが現実的です。
専門分野では慎重に
医療・法律・金融のように資格や規制が関わる分野では、AIの回答内容が事実と異なる場合の影響が大きくなります。表現や訴求については、それぞれの専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 商圏の市が5つあります。全部の市のページを作るべきですか?
まずは売上の大きい順に2〜3市から始めることをおすすめします。中身のないページを5枚並べるより、実績と写真の入ったページを2枚作るほうが効果が出やすいためです。
作った市とまだの市でAIの答えを比べれば、次にどこへ投資すべきかも判断できます。
Q. ChatGPTでは出るのにGoogleのAIによる概要では出ません。なぜですか?
参照している情報源と表示の基準が違うためです。当社の48日1,416回の観測でも、ChatGPTでの言及率31.3%に対しGoogle AI Overviewsは17.4%と、同じ会社・同じ質問でも差が出ています。
加えてAI Overviewsは470回中107回(22.8%)でそもそも表示されませんでした。まず「AIによる概要が出る質問かどうか」を確認してください。
Q. 地域名を入れた記事を大量に作れば解決しますか?
地域名だけを差し替えた量産ページは、逆効果になる可能性があります。Googleは検索利用者のためにならない自動生成コンテンツをスパムポリシーの対象としています。
その地域で実際に何をしたかという事実が入っていないページは、AIにとっても引用する理由がありません。枚数より中身です。
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まとめ
「〇〇市 ホームページ制作」をAIに聞いたときの答えは、地域名ひとつで反転します。当社の48日1,416回の観測では、拠点の市で83.0%、隣の市で0.0%という差が出ました。
原因は距離でも実力でもなく、その地域名と自社名が結びついた情報がweb上にどれだけ残っているかです。だからこそ、地域ビジネスのAI検索対策は「商圏の市ごとにページを1枚つくる」という地味な作業から始まります。
そして、やる前とやった後の差を見るには、まず現状を測っておく必要があります。3種類の質問を3つのAIに投げて2週間記録する。ここまでは費用ゼロでできますので、まずは手を動かして現在地を確かめてみてください。
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