AIの誤情報に会社はどう対処するか|自社について誤って答えられたときの3手順【60日1,776回の実測】

AIが企業について誤った情報を答える状況を表したアイソメトリックイラスト

ChatGPTに自社名を聞いたら、すでに終了したサービスを今も提供していることになっていた。Geminiでは所在地が隣の市になっていた。こうしたAIの誤情報に対して、企業側が押せる「訂正ボタン」は、今のところ存在しません。

ではどうするか。実務的に効く順番は、①誤りを日付つきで記録する、②AIが参照している元の情報を直す、③各AIの公式窓口に報告する、の3つです。この順序を飛ばして③から入っても、たいていは動きません。

この記事では、その3手順を自社だけで実行できる形で説明します。あわせて、自社サイトを60日間・1,776回観測して見えた「誤情報よりずっと頻度が高い問題」も実測値でお伝えします。

記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司

目次

なぜAIの誤情報は「取り消し」ができないのか

AIの吹き出しに警告マークが付いたアイソメトリックイラスト。AIの誤った回答を表す

最初に、対処法の前提になる仕組みを1つだけ押さえてください。ここを誤解していると、打ち手を間違えます。

AIは「その回答」をどこかに保存しているわけではない

生成AI(ChatGPTやGeminiのように、文章を組み立てて答えるAI)は、あらかじめ用意した答えの一覧から正解を引っ張ってきているわけではありません。質問を受けるたびに、学習した内容とその場で参照したWebページをもとに、文章を組み立てて返しています。

つまり「間違った1件のデータ」がどこかに保管されていて、それを消せば直る、という構造ではないということです。検索結果から1ページを削除するのとは、やり方がまるで違います。

だから直すべきは「回答」ではなく「元の情報」

AIが誤るとき、その材料になった情報がWeb上のどこかにあります。古い会社概要ページ、更新の止まったポータルサイトの掲載情報、内容が混ざった第三者のまとめ記事などです。

元の情報が正しく整備されれば、AIの回答も時間差で変わっていく可能性が高くなります。ただしいつ反映されるかは各社が公表しておらず、確実に何日で直るとお約束できるものではありません。

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AIが自社について誤る、3つのパターン

誤情報といっても中身は同じではなく、原因によって打ち手が変わります。実際に多いのは次の3つです。

パターン1:古い情報がそのまま生きている

終了したサービス、移転前の住所、退任した役職者の名前などが、いまも事実として語られるケースです。自社サイトは更新済みでも、第三者のディレクトリや過去のプレスリリースが残っていると起こります。

最も多く、そして最も直しやすいパターンでもあります。情報源をたどれば原因のページが特定できることが多いためです。

パターン2:同名・類似の会社と取り違えている

屋号が似ている、あるいは地名+業種の組み合わせが近い会社の情報が混ざるパターンです。他社の実績や口コミが自社のものとして語られることもあります。

この場合、削除より「区別できる材料を増やす」ほうが効きます。法人番号、設立年、所在地、代表者名といった一意に定まる情報を、自社サイト側で明示しておくことが対策になります。

パターン3:情報が無いので推測で埋めている

いちばん厄介なのがこれです。Web上に確かな記述が乏しいと、AIは周辺情報から「ありそうな内容」を組み立てて答えることがあります。

情報の不足そのものが誤情報の原因になるため、報告や削除では解決しません。事実を書いて公開する以外に道がない領域です。

手順1:誤りを「記録」する(ここを飛ばすと先に進めない)

警告マーク付きの吹き出しと、鉛筆で訂正されチェックが付く書類のイラスト。誤情報を訂正する対応を表す

報告するにも、社内で共有するにも、証拠が要ります。しかもAIの回答は日によって変わるため、記録の取り方に少しコツがあります。

3つのAIに同じ質問をして、日付つきで残す

ChatGPT、Gemini、Google検索のAI Overviews(検索結果の最上部に出るAI要約)の3つに、まったく同じ文言で質問します。「株式会社◯◯について教えてください」「◯◯の事業内容は?」の2問が基本形です。

残すのは、質問文・日時・AIの名前・回答全文・スクリーンショットの5点です。とくに日時は、後で報告する際にGoogle側が回答を特定する手がかりになります。

3AIでの具体的な確認手順は、こちらの記事で画面つきに近い粒度で説明しています。

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1回だけ見て判断しない

同じ質問でも、AIの答えは日によって変わります。自社サイトを観測している当社のデータ(対象期間2026年7月4日〜9月7日・60日間・1,776回の観測)でも、指名系の設問での自社言及率は93.8%と高い一方、日次では上下がありました。

1回の表示だけで「誤情報が定着している」と判断すると、たまたま出た1回に振り回されます。最低でも数日、できれば1週間ほど間隔を空けて3回以上見てから動くほうが確実です。

手順2:AIが見ている「元の情報」を直す

記録が取れたら、その内容がどこから来ているかを探します。ここが実質的な本丸です。

まず自社サイトの一次情報を整える

会社概要ページに、正式名称・所在地・設立年・代表者名・事業内容・提供地域を、文章として書いておきます。表組みだけでなく、地の文でも触れておくと拾われやすくなります。

終了したサービスは、ページごと消すより「◯年◯月をもって終了しました」と明記して残すほうが、誤解の解消には有効です。ページが消えると、AIは古い第三者情報を頼りにするしかなくなります。

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Googleビジネスプロフィールと第三者媒体を洗う

Googleビジネスプロフィールの営業時間・住所・業種は、地域系の回答に影響します。あわせて、業界ポータル、求人サイト、過去の掲載記事など、自社名で検索して上位に出る第三者ページを一通り確認してください。

誤りがあれば、各媒体の運営に修正を依頼します。地味ですが、誤情報対策の実務の大半はこの地道な依頼作業です。

すでに消したページが検索に残っているとき

自社サイトから削除済みなのに検索結果に残っている場合は、Search Consoleの「古いコンテンツの更新ツール」で更新をリクエストできます。自分が所有していないページについても、内容が現存しない場合は同じツールから申請が可能です。

検索インデックスが更新されれば、AIが参照する材料も入れ替わります。処理には数日かかることがあるため、申請後はステータスを確認しておきます。

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手順3:各AIの公式窓口に報告する

元の情報を直しながら、並行して各社に報告します。即時に反映される仕組みではありませんが、記録を添えて出す価値はあります。

Google AI Overviewsの場合

AI要約の下部にある低評価アイコン(親指を下に向けたマーク)から「問題を報告」を選び、該当するカテゴリを選択します。テキスト欄に詳細を書けるので、ここを空欄にしないことが大切です。

書く内容は、表示された記述・誤っている点・正しい情報・根拠になる公式ページのURLの4点です。Googleのヘルプでも、詳細の追記が推奨されると案内されています。

ChatGPT(OpenAI)の場合

回答内の個人に関する情報が事実と異なる場合、OpenAIはプライバシー窓口(privacy.openai.com、またはdsar@openai.com)で訂正・削除のリクエストを受け付けています。申請者本人に関する情報であることが確認できた場合に、個別に判断して対応する流れです。

ただしこれは個人情報を主な対象とした制度で、法人の事業内容に関する誤りがすべて同じ扱いになるとは限りません。法人については、元の情報を整える手順2のほうが現実的な効果を見込めます。

営業被害や名誉毀損が疑われるとき

「倒産した」「行政処分を受けた」といった事実無根の記述が繰り返し表示される場合は、記録を保全したうえで法的対応も選択肢に入ります。何が違法にあたるかの判断は個別事情に左右されるため、弁護士など専門家にご相談ください。

その際も、手順1で取った日付つきの記録がそのまま証拠になります。記録を先に取る理由はここにもあります。

実測データ:誤情報より頻度が高いのは「そもそも出てこない」

書類・虫眼鏡・盾のアイコンが並ぶ3つの台座のイラスト。3段階の対処手順を表す

ここで、当社が自社サイトを対象に毎日観測している実測値をお見せします。誤情報対策に人手を割く前に、確認しておいたほうがよい事実があります。

60日・1,776回の観測で見えたこと

対象期間2026年7月4日〜9月7日(60日間・1,776回の観測・ChatGPT/Gemini/Google AI Overviewsの3ソース)で、自社の言及率は27.5%(489/1,776観測)、引用率は20.3%(241/1,186観測)でした。AI Overviewsは対象590回のうち127回(21.5%)がそもそも表示されていません。

注目してほしいのは設問ごとの差です。指名系(社名で聞く)は93.8%、地域系は84.2%と77.5%で出るのに対し、「おすすめは?」「選び方は?」といった汎用・比較系の6設問は60日間・1,776回を通じて0%でした。

つまり、誤って紹介される以前に、そもそも候補に挙がっていない設問が多数あるということです。誤情報の修正と並行して、露出そのものを増やす打ち手を考える必要があります。

出方はAIごとにも、日ごとにも揺れる

同じ60日・1,776回の観測をソース別に見ると、自社言及率はChatGPTで31.7%(596観測)、Geminiで32.9%(590観測)、Google AI Overviewsで18.0%(590観測)と差がありました。1つのAIだけを見て全体を判断できないことが、数字にはっきり出ています。

この期間中には、追跡していた競合8ブランドのうち1社が、途中からAIの回答に出てこなくなるという変化もありました。何もしなくても見え方は動く、という前提で構えておくのが現実的です。

直したあと、直ったかどうかをどう確かめるか

検索バーの台座と星のバッジ、鍵のアイコンのイラスト。正しい情報を守り伝えることを表す

手順2まで実行しても、反映されたかは自動で通知されません。確認する仕組みを自分で持つ必要があります。

自分でやる場合の負担

3つのAIに10問ずつ聞いて記録すると1回あたり30回の確認になり、これを毎日続けると月900回です。手作業では現実的ではないため、週1回・主要な3問だけに絞るなど、続けられる形に落とすことをおすすめします。

それでも、質問文をそろえること、日付を残すこと、回答全文を保存することの3点だけは崩さないでください。ここが崩れると、前回との比較ができなくなります。

AccessGEOでやっていること

当社のAccessGEOは、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewsに毎日同じ設問を投げ、自社と競合の出方を記録して月次レポートでお届けするサービスです。この記事の数値も、自社を対象に同じ仕組みで取ったものです。

対応しているのは現時点で3種類のAIで、PerplexityやCopilotなどは対象外です。また、観測はあくまで現状を可視化するもので、露出の増加を保証するものではありません。まず現状を知りたい段階であれば、無料のGEO診断もご用意しています。

よくある質問

報告すれば、どのくらいで直りますか?

各社とも反映までの期間を公表しておらず、期日をお約束できるものではありません。実務としては、報告と並行して元の情報を直し、数週間おきに同じ質問で確認していく形になります。

誤情報のもとになっているページが特定できません。

AIに「その情報の出典を教えてください」と続けて聞くと、参照元が示されることがあります。示されない場合は、誤っている固有名詞や数値をそのまま検索窓に入れて、同じ記述をしているページを探す方法が有効です。

AI Overviewsを自社の検索結果に出さないようにできますか?

企業側から特定の検索結果でAI要約だけを止める設定は、現時点では用意されていません。表示されるかどうかは検索語によって傾向が異なり、当社の観測でも590回中127回(21.5%)は非表示でした。

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まとめ

AIが自社について誤った情報を答えたとき、企業側にできることは3つです。日付つきで記録し、元の情報を直し、各AIの公式窓口に報告する。この順番を守るのが近道です。

そして、誤情報の修正と同じくらい重要なのが、そもそも出てきているかの確認です。60日間・1,776回の自社観測では、指名系93.8%に対して汎用・比較系の6設問は0%でした。

まずは今日、ChatGPT・Gemini・AI Overviewsの3つに自社名を入れて、日付とともに保存するところから始めてみてください。それが誤情報対策の起点であり、露出を増やす取り組みの起点にもなります。

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この記事を書いた人

三田健司のアバター 三田健司 株式会社アクセス・リンク 代表取締役/SEO・GEOコンサルタント

株式会社アクセス・リンク代表取締役。(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。AI検索の露出を毎日観測するツール「AccessGEO」の開発者。

2011年に副業でWebサイト運営を始め、数百サイト・数千記事を自ら作成・運用してきました。2017年に独立した直後、Googleの医療健康アップデートで運営サイトの順位が大きく落ちた経験から、「誰が、どんな根拠で書いているか」を重視する検索エンジンの評価基準(E-E-A-T)を軸にしたSEOに取り組んでいます。

2021年に株式会社アクセス・リンクを創業。ホームページ制作と、SEO・MEO・GEO(生成AI検索への最適化)のコンサルティングを、クリニック・歯科医院・パーソナルジム・EC・地域の事業者など幅広い業種に提供しています。

現在は、ChatGPTなどの生成AIが自社や競合をどう紹介しているかを毎日観測し、その一次データをもとにAI検索時代の集客を研究・発信しています。このブログに掲載している実測データは、すべて自社で観測したものです。

株式会社アクセス・リンク 公式サイト
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント

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